■ 牡丹みて蝶よ来いよと思いけり
( ぼたんみて ちょうよこいよと おもいけり )
先週の金曜日、例により2週間ぶりに植物園に行ってきた。今回のお目当ては、牡丹(ぼたん)と芍薬(しゃくやく)。
芍薬の方は、まだ莟のものがほとんどだったが、牡丹の方は丁度満開だった。
本日の掲句は、写真を撮りながら、ここに蝶が飛んで来たら絵になるなと思って詠んだ句。「牡丹」は夏の季語。
牡丹に蝶の取り合わせは、花札の絵柄としても知られ、極めて陳腐なものだが、ここでは問わない。
ところで、「牡丹」という名前の由来は何なのか。そういえばまだ調べてないと思い、今回ネットなどで調べて見た。
まず、和名の「ぼたん」は、漢名の「牡丹」の音読みだとのこと。「牡」は「ぼ」あるいは「ぼう」と読む。「丹」は丹後などの丹で「たん」。
意味はというと、「牡」は雄(おす)のこと。これまであまり意識してなかったが、それにしても何で雄なんだろう・・・。
どうも、これには諸説あるようだが、比較的納得いくものとし上げられるのが、「春に根上からその芽が雄々(おお)しく出るから」という説。
一方、「丹」はというと、丹色(にいろ)のことで赤色を指す。従って、「牡丹」とは、今の言葉で言えば「雄の赤」。もう少し格好良く言えば「雄々しい赤い花」ということになる。これで、牡丹が「花の王」と呼ばれていることにも納得がいく。
ただ、これまで艶やかな女性をイメージしていただけに、男性的な名だと知ると少し違和感を感じるのも正直なところ。「花の女王」と言いたいところだが、これは一般的には薔薇のことを指す。
話は戻って、「牡丹」に関しては、これまで以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 芍薬も牡丹も百合も夏女
② お社に牡丹かしこみ鎮座せり
①は、美しい女性を形容する「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉をヒントに詠んだ句。これらの花はみんな夏の季語だということで「夏女」とした。
②は、ある神社の本殿前に植えられていた牡丹が、見事な大輪の花を咲かせていた様子を見て詠んだもの。
牡丹は、ボタン科ボタン属の落葉小低木で、原産地は中国。日本には奈良時代に渡来したそうだ。花期は牡丹が4月から5月。別名に、「富貴花」「百花王」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「ぼうたん」など多数ある。
牡丹を詠んだ句は非常に多いが、以下に何句か選定し掲載した。(以前掲載したものは除く。)
【牡丹の参考句】
夜の色に沈みゆくなり大牡丹 (高野素十)
牡丹百二百三百門一つ (阿波野青畝)
牡丹の奥に怒濤怒濤の奥に牡丹 (加藤楸邨)
牡丹百二百三百門一つ (阿波野青畝)
牡丹の奥に怒濤怒濤の奥に牡丹 (加藤楸邨)
風に色わきたたしゐる牡丹かな (上村占魚)
風の蝶風の牡丹とややありし (行方克己)
風の蝶風の牡丹とややありし (行方克己)