■ 富士五湖(1) 二句
○ 富士五湖の三週遅れの花見かな
( ふじごこの さんしゅうおくれの はなみかな )
○ 露天湯や富士の残雪しばし見て
○ 露天湯や富士の残雪しばし見て
( ろてんゆや ふじのざんせつ しばしみて )
一昨日から一泊二日で富士五湖と富士山をめぐるバスツアーに行ってきた。今日と明日は、そこで詠んだ句と記事を掲載したい。
初日は、京都駅を8時に出て、新東名高速道路を通り一路富士五湖へ。何回かサービスエリアで休憩し、富士五湖の一つ山中湖に着いたのは、午後3時少し前。
そこで、まず富士山を眺めたが、残念ながら雲がかかって頂上は見えなかった。それでも、雪を残した山頂付近の姿がくっきりと見えた。(一番最後の写真。その他は忍野八海での撮影。)
*富士五湖:山梨県側の富士山麓に位置する5つの湖の総称。山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖で構成。
その後、近くの忍野八海(おしのはっかい)へ向かった。近づくにつれ、目に入ってきたのが沿道の満開の桜である。京都ではすっかり桜が散ったというのに・・・。正直大変驚いた。
*忍野八海は、富士山の伏流水に水源を発する湧水池。富士信仰の古跡霊場や富士道者の禊ぎの場の歴史や伝説を有し、世界遺産富士山の構成資産の一部として認定されている。
現地へ着くとたくさん植えられた桜がいずれも満開になっていた。また、雪柳、連翹、喇叭水仙など、京都ではすでに散ってしまった花が今が盛りと咲き誇っていた。
本日の掲句の第一句は、そうした状況を見て詠んだ句である。まさか、この地で京都より三週遅れの花見ができるとは・・・。
尚、ここに咲いていた桜は主に染井吉野だが、中に富士山近辺やその山麓、箱根近辺等に自生している富士桜(ふじざくら)が何本も混じっていた。
花は、染井吉野よりも一回り小さく、別名で豆桜(まめざくら)というが、実に可憐で洒落た感じの花だった。
忍野八海を観光した後、河口湖の近くにあるリゾートホテルに行った。鬱蒼とした森に囲まれたホテルで、少し散策した後に夕食をとり、温泉の露天風呂に入った。
そこで一句と詠んだのが掲句の第二句である。天気予報では、この日は、曇り後雨だということで、出発時においては、富士山は見えないかもしれないと半ば諦めていた。
しかし、全景は見えなかったものの、その裾野と頂上付近の残雪ははっきりと見えた。そのことに満足しつつ詠んだのがこの句である。
さて、明日はどうなるか。できれば晴れて富士山の全景を拝みたいところだが・・・。結果については、明日の記事で報告したい。
富士山に関連する俳句はさすがに多いが、以下には、参考までいくつ選定し掲載した。
【富士山に関する参考句】
霜月や雲もかゝらぬ昼の富士 (正岡子規)
枇杷の種弾みて富士の山開き (飯田龍太)
鯉幟富士の裾野に尾を垂らす (山口誓子)
大露や抜身のごとく富士立てり (岸田稚魚)
富士五湖の山中の秋ついりかな (石塚友二)
*山中湖より