■ 古寺の裏や紫雲英の花の苑
( ふるでらの うらや げんげの はなのその )
そんなおり、あるお寺の裏地で、その蓮華草が群生しているのを久々に見た。そこは、どうも空地になっているようで、他にも何種かの野草が花が咲かせていた。
本日の掲句は、その様子を詠んだものだが、字数の関係もあり、紫雲英(げんげ)という別称を使った。「紫雲英」「蓮華草」は春の季語。
ところで、「蓮華」というと、通常は蓮(はす)の花のことをさすそうだ。童謡「ひらいたひらいた」に出てくる「れんげの花」も蓮の花のこと。
「蓮華草」の名前は、花の形や色が、その蓮の花に似ていることから付けられたと言われている。
一方、「紫雲英」は、花が一面に咲いている様子が、雲が棚引いているようなので付けられた漢名。読みは「げんげ」だが、その由来については、「れんげ」が訛ったなどの説はあるが、どうもはっきりしない。
余談だが、中華料理などの食卓で使われる陶製の匙のことを「レンゲ」というが、これは匙の形が、散った蓮の花(蓮華)の花びらの一片に似ていることによる。
紫雲英は、マメ科ゲンゲ属の多年草で、中国原産の帰化植物。植物分類上では紫雲英(げんげ)が正式だが、一般には蓮華草の方がよく知られている。花期は4月~5月。花は、葉腋から花柄を出し、その先端に輪生状にまとまって咲く。花色は紅紫色だが、まれに白色のものもある。
かつては、緑肥(りょくひ)および牛の飼料とするため、秋に種を蒔き翌春に花を咲かせていた。これをレンゲ(ゲンゲ)畑と呼び、昭和末頃までは「春の風物詩」とされたが、化学肥料が使われるようになってからはほとんど見られなくなった。
「紫雲英」もしくは「蓮華草」を詠んだ句はままあり、以下に何句か選んで掲載した。
【蓮華草、紫雲英の参考句】
もの出来ぬ痩田うつくし蓮華草 (正岡子規)
紫雲英野の道たかまりて川跨ぐ (清崎敏郎)
タラップを降りて紫雲英の風の中 (西村和子)
余念なく紫雲英を摘むとひとは見む (大島民郎)
タラップを降りて紫雲英の風の中 (西村和子)
余念なく紫雲英を摘むとひとは見む (大島民郎)
赤ちゃんは音楽が好き蓮華草 (岩根真由美)