■ バス停に黄み輝くや水仙花
( ばすていに きみかがやくや すいせんか )
白に黄色の水仙(すいせん)の花があちらこちらで咲き始めた。寒くて花が少ないこの時期に、沢山の花を惜しげもなく咲かせる水仙は、沈みがちな気持ちをぱっと明るくしてくれる。
因みに、これまで詠んだ水仙の句としては以下のものがある。
【関連句】
① 水仙花笑うがごとく咲きにけり
② 水仙花卵の色に咲きにけり
①は、日差しを受けた水仙を見た時に、やさしく笑っているような感じがして詠んだ句。②は、花の色が「ゆで卵」の切り口に似ているので、その印象をそのまま詠んだもの。「ゆで卵」では字余りになるので「卵」とした。句の調子は、芭蕉の「秋海棠 西瓜の色に咲きにけり」を真似た。
水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、冬から春にかけて白や黄の花を咲かせる。原産地は地中海沿岸地域。原種は30種類ほどだが、園芸品種が1万品種以上もあり、年々その品種が増えている。日本水仙(にほんずいせん)は平安時代末期に中国を経由して渡来したそうだ。
「すいせん」という名は、中国での呼び名「水仙」を音読みしたもの。「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙」という中国の古典に由来し、水辺で咲くきれいな花の姿と芳香から、まるで「仙人」のようだということで命名されたとのこと。別名に 「雪中花(せっちゅうか)」がある。
水仙や白き障子にともうつり (松尾芭蕉)
水仙や寒き都のここかしこ (与謝蕪村)
家ありてそして水仙畠かな (小林一茶)
日あたりや馬場のあとなる水仙花 (正岡子規)
水仙に光微塵の渚あり (水原秋櫻子)