■ たとうれば怒涛の飛沫雪柳
( たとうれば どとうのしぶき ゆきやなぎ )
こうなったら満開は早く、今週末にも盛りを迎えることになるだろう。その桜については、後日改めて取り上げることとして、本日は一足先に満開になった「雪柳(ゆきやなぎ)」を取り上げたい。
この雪柳は、3月末ぐらいから咲き始めたが、今近辺の疏水べりでは白い波飛沫(なみしぶき)のように荒々しく咲いている。本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。「雪柳」は春の季語。
尚、上五の「たとうれば」は、高浜虚子の以下の句からの引用。
たとふれば独楽のはぢける如くなり
この句は、河東碧梧桐の死(昭和12年)に対し弔句として贈ったもの。
【一口メモ】
「たとふれば」は、ハ行下二段活用の動詞「たとふ(喩ふ、譬ふ)」の已然形に、接続助詞「ば」が付いた形。掲句では「たとうれば」としているが、これは、「たとふ」を「たとう」と新仮名遣いで表記しているため。
俳句では、文語体を旧仮名遣いで表記するのが一般的だが、自分は訳あって文語体も新仮名遣いを使っている。尚、掲句の場合、「たとえれば」とすれば、口語体の句としても通用する。
話は戻って、雪柳に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 照り返す川浪のごと雪柳
② 雪柳波の飛沫に似せて咲き
③ 北斎の絵に倣いしや雪柳
①は川面を被うように咲き、白く光っている雪柳を見て詠んだ句。②は、花を波の飛沫に喩えて詠んだもの。③は、雪柳の咲いている様を葛飾北斎の有名な大波に喩えて詠んだもの。
こう並べてみると、いずれの句も雪柳を波に喩えたものとなっている。今のところ、その域からなかなか脱却できない。
雪柳は、バラ科シモツケ属の落葉低木で日本及び中国の原産とされている。花期は3月中旬頃~4月中旬頃.。名前は、雪が柳に降り積もったような花の姿に因んだもの。
最近は、園芸品種と思われるピンク色の花を咲かせるものも出回っているようだが、名前にはそぐわないように思う。別名に、小米花(こごめばな)、小米柳(こごめやなぎ)などがある。
「雪柳」を詠んだ句は結構あり、本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下ではそれ以外のものをいくつか掲載した。
【雪柳の参考句】
雪柳人居るごとく揺れ合へり (阿部みどり女)
たえず風やり過しをり雪柳 (高木晴子)
たえず風やり過しをり雪柳 (高木晴子)
雪柳いま満開の重さかな (田中一生)
野良猫の揺らして通る雪柳 (脇本幸代)
裏木戸を叩くは風の雪柳 (横田清香)
野良猫の揺らして通る雪柳 (脇本幸代)
裏木戸を叩くは風の雪柳 (横田清香)