■ 賑やかにムスカリ群るる川辺かな
( にぎやかに むすかりむるる かわべかな )
しかし、この土筆も、近辺ではなかなか見られなくなった。その代わりと言っては何だが、「ムスカリ」を川べりで時々見るようになった。
この草花は、茎の先に青紫色のブドウの房のような花をつける。地味な色の土筆と比べれば、随分と華やかな感じがする。
本日の掲句は、そんなムスカリの咲く小景を見て詠んだ句である。
「ムスカリ」は、まだほとんどの歳時記に載っていないようだが、春の花なので、春の季語に準じて詠んだ。
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因みに、ムスカリに関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① ムスカリの藍の花がさ揺れてあり
② ムスカリはおとぎの国の花らしき
③ ムスカリの小人の村はフェステバル
①は、花の形から洋傘の半開きにした形をイメージし、花色の藍を愛にかけて詠んだもの。
②は、ムスカリが群生している様子を「おとぎの国」に譬えて詠んだ。
③は、②の句と同様、メルヘンチックな花のイメージから詠んだ句である。
ムスカリは、ユリ科(分類体系によりヒアシンス科)ムスカリ属の植物の総称。原産地は南西アジアあるいは地中海沿岸地方で明治初期に日本に渡来。
花期は3月~5月。花色は鮮やかな藍色(青紫色)だが、近年白色、黄色なども見られるとのこと。
名前はギリシャ語のムスク(moschos)=麝香(じゃこう)に由来し、ある種の花が強い芳香を放つところからきているそうだ。
花は一見するとブドウの実のように見えることから、英名ではグレープヒヤシンスという。
「ムスカリ」は比較的新しい花のせいか、参考になりそうな句はなかったので、参考句の掲載は割愛する。