■ 春なのになどか俯くクリスマスローズ
( はるなのに などかうつむく くりすますろーず )
今日取り上げる「クリスマスローズ」は、その名前の通り、クリスマスの頃から咲きだし、今も方々の花壇などで見られる。
今も咲いているのに「クリスマス」がつくなんておかしいと思う人も多いと思うが、海外では、「クリスマスローズ」を早秋から冬に開花する「ヘレボルス・ニゲル」だけを指す。
そして、春に開花するものは「四旬節Lent」に咲くバラ」という意味の「レンテンローズ」という名で区別しているとのこと。
*四旬節:キイスト教で復活祭の前日から40日前までの期間を指す。
日本ではヘレボルス属の総称として使われ、名前の通りも良いせいか区別なく使われている。尚、薔薇のローズとは無関係。
本日の掲句は、そんな花を見て詠んだ句。この花の色は、どちらかと地味なものが多く、ほとんどが俯いて咲く。
クリスマスローズは冬の季語になので、上五に敢えて春の季語「春」をおいた。
*などか=なぜかの古語
因みに、過去には以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① クリスマスローズ春の愁いは何ゆえに
② 俯きのレンテンローズ春うらら
①は、俯き加減に咲く花の姿を「春の愁い」に掛けて詠んだもの。
②は、「この麗らかな春の陽気の中で、いつまでもふさいでいてはいけないよ。」といった意味を込めて詠んだ。この句では「レンテンローズ」を使ってみた。
いずれも、俯き加減に咲く花の姿に着目して詠んだ句。着想は同じでも詠み方はいろいろあって、今のところどれがいいかは判定できていない。
クリスマスローズは、キンポウゲ科ヘレボルス属(クリスマスローズ属)に分類される常緑多年草で、原産地は東ヨーロッパ、西アジアなど。日本には明治の初め頃薬草として渡来。
花期は12月~4月。花に見える部分は植物学上では「花」でなく「がく」。現在品種改良が進み、色や形がきわめて豊富。
【クリスマスローズの参考句】
クリスマスローズ日本語使ひたく (後藤比奈夫)
クリスマスローズ咲かせる窪の家 (松崎鉄之介)
クリスマスローズ我家の庭の花と咲く (阿部ひろし)
珈琲はブラッククリスマスローズ (星野麥丘人)
クリスマスローズ俯きて春の風情なり (牧原佳代子)