■ 貴船菊面影違う一重八重
( きぶねぎく おもかげちがう ひとえやえ )
今日からいつものブログに戻り、先ず取り上げたのは「貴船菊(きぶねぎく)」。別名で「秋明菊(しゅうめいぎく)」ともいう。
最初に見たのは、一重のピンクの花(2枚目の写真参照)で、この花に何故「菊」が付くのかよく分からなかった。だから、その印象をそのまま以下のように詠んだ。
菊よりも秋桜似かな秋明菊
しかし、その後八重の花(右写真)も知るに至り、名前に「菊」が付く所以が漸く理解できた。こちらの方が原種で、一重は観賞用に品種改良されたもののようである。
ただ、この植物はキク科ではなくキンポウゲ科のアネモネの仲間だとのこと。
ただ、この植物はキク科ではなくキンポウゲ科のアネモネの仲間だとのこと。
本日の掲句は、そんな貴船菊(秋明菊)について、一重と八重では全く面影=思い浮かべる顔や姿、印象が違うと詠んだもの。
「貴船菊」「秋明菊」は秋の季語。
因みに、「秋明菊」では、以下の句を過去に詠んでいる。
【関連句】
① 不揃いの花弁も愛嬌秋明菊
② 白々と秋明菊や町の辻
①は、一重のピンクの秋明菊を詠んだもの。上掲の写真を見て貰えば分かると思うが、花弁(実は萼片)の形、大きさは全く揃っていない。
②は、明け方に、近くの町の辻で、白い秋明菊を見て詠んだ句。白々あける明け方の感じと秋明菊の白を重ねて詠んでみた。
貴船菊(秋明菊)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。中国原産で、日本には、かなり古い時代に渡来したと言われている。花期は9月~11月。花色はもともと赤紫色が主だったが、交配によりピンク色、白色の品種ができたとのこと。
ところで、何故この植物に「貴船菊」という名が付けられたかというと、京都市の貴船という地域に多く咲いていたからというのが通説。「秋明菊」の方は、当初「黄泉の国の菊」の意味で「秋冥菊」と付けられたが、後に「冥」はイメージが悪いということでが「明」に変わったとのこと。
別名に「秋牡丹」「しめ菊」「紫衣菊」など多様にあり、英名では「ジャパニーズ・アネモネ」という。
「貴船菊」「秋明菊」を詠んだ句はままあり、本ブログでも何句か紹介したことがあるが、以下ではそれ以外のものを掲載した。
【貴船菊、秋明菊の参考句】
片づけて秋明菊を挿しにけり (黒田杏子)
名を聞きてよりしみじみと貴船菊 (片山由美子)
鄙なれど風は雅に貴船菊 (三木彬郎)
長雨の皆下向きに貴船菊 (寺田順子)
火祭の火の粉にこげし貴船菊 (恒川ひさを)
名を聞きてよりしみじみと貴船菊 (片山由美子)
鄙なれど風は雅に貴船菊 (三木彬郎)
長雨の皆下向きに貴船菊 (寺田順子)
火祭の火の粉にこげし貴船菊 (恒川ひさを)