■ 水澄むや安穏として白き鯉
( みずすむや あんのんとして しろきこい )
澄みきった水の中を悠々と泳ぐその姿は何とも美しく、心を穏やかにしてくれる。
本日の掲句はそんな情景を詠んだ句。上五の「水澄む」は秋の季語。殊に今から冬にかけての水は、まことに透明で澄み切っている感じがする。
尚、「鯉」は単独では季語にならないが、「緋鯉」「錦鯉」「斑鯉」は夏の季語、「寒鯉」は冬の季語となる。
因みに、過去にも同じ池で、この白い鯉を見て以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 白き鯉紅葉の池に揺蕩えり
② 大寒の雪に揺蕩う白き鯉
①は、池に落ちた紅葉を搔い潜るように泳ぐ白い鯉を見て詠んだ。11月下旬に詠んだ句だが、この頃になると水面は紅葉の落葉で覆われる。*揺蕩う(たゆたう)
②は、雪の降る大寒の1月下旬に詠んだ句。似たような形式の句だが、見た情景は違っており、感慨も自ずと異なってくる。
ところで、「鯉」とはどんな魚なのか。身近で見ていながら、あまりその実態を知らなかったので、Wikipediaなどを参考に要点を整理し、一度本ブログでも掲載したことがある。覚えておられる方もいると思うが、参考のため再掲したい。
● 鯉は、コイ目・コイ科に分類される魚で、比較的流れが緩やかな川や池、沼、湖、用水路などにも広く生息する淡水魚である。
● 食性は雑食性で、水草、貝類、ミミズ、昆虫類、甲殻類、カエル、他の魚の卵や小魚など、口に入るものならたいてい何でも食べる。
● 生命力は極めて強く、魚にしては長寿の部類で、平均20年以上、まれに70年を超す個体もある。鱗の年輪から推定された最長命記録は226年だとか。(信憑性は?)
● 日本のコイは大昔に中国から移入されたと言われていたこともあったが、琵琶湖など第三紀の地層から化石も発見され、古来日本に自然分布していたとされる。
● 日本のコイは大昔に中国から移入されたと言われていたこともあったが、琵琶湖など第三紀の地層から化石も発見され、古来日本に自然分布していたとされる。
● 錦鯉(ニシキゴイ)は、普通の鯉を観賞用に養殖した変種である。黒以外の鯉を色鯉(イロゴイ)、特に赤い鯉を緋鯉(ヒゴイ)という。
● 錦鯉を育てることは19世紀の新潟県で始まり、1914年の東京博覧会に出品されてから注目されることとなり、日本中で爆発的に広まった。現在は世界的にも注目され輸出されている。
●因みに、錦鯉は日本の国魚。
「鯉」を詠んだ句は非常に多いが、記事が長くなったので参考句は割愛する。