■ 剽軽な青瓢箪の括れかな
( ひょうきんな あおびょうたんの くびれかな )
先日行った京都の植物園には、様々な瓢箪(ひょうたん)が植えてあるところがあり、数多くの瓢箪が棚から垂れ下がっていた。
本日の掲句は、その瓢箪の形を改めて見て詠んだ句である。
何であんな形になったのか分からないが、中央の括(くび)れが何とも面白く、それを「剽軽(ひょうきん)」と形容して詠んだ。
「青瓢箪」は、「青瓢(あおふくべ)とも言い秋の季語。「瓢箪」「瓢(ひさご)」としても秋の季語。
ところで、腰の括(くび)れは、女性の魅力の一つではあるが、瓢箪のような体形は、いささかお尻が大きすぎるような気もする。しかし昨今は、旅行で京都に来た欧米人で、こういう体形の人を結構見かける。
そういえば、縄文時代の土偶にもこういう体形のものがあって、見ようによっては魅力的なのかもしれないが・・・。
話しは変わって、掲句使った「剽軽」と「瓢箪」の頭の漢字には、いずれも「票」がついている。何か関係があるのかと思い、その字源を調べてみた。
まず、「票」だが、今は「投票」などで使われるように、もっぱら札や紙片のことを言うが、もととなる字は、人の死体の頭を両手で掲げる形で、高く上げるの意味だとのこと。それから、時が経るにつれ、火の粉が飛ぶ、ゆれる、軽い、速い、暴れる、舞い上がる紙片、札などの意味にも転用されていったと言われている。
一方「剽」の方は、「刂(りっとう)」が刀を表し、刀をもって暴れるの意。「剽軽」は「ひょうけいと」と読むと「荒々しく軽薄」の意になり、「ひょうきん」と読めば、「気軽でこっけい」の意となる。また「瓢」の方は、瓜の中でも軽い「ひさご」のことで、これだけで瓢箪のことを示す。
並べてみると関係があるようなないような微妙な感じではある。
瓢箪は、ウリ科ユウガオ属の一年草。最古の栽培植物のひとつで、原産地のアフリカから食用や加工材料として全世界に広まったと考えられている。漢語では「瓢(ひょう)」、「瓢瓠(ひょうこ)」ともいい、和語では「ひさご」、「ふくべ」という。
瓢箪は、末広がりの形をしており、古来よりとても縁起の良いものとされ、除災招福のお守りや魔除けとして広く用いられてきた。「三つで三拍(三瓢)子揃って縁起が良い、六つで無病(六瓢)息災」などといわれ、縁起物として掛け軸や器、染め物などの意匠にも見られる。
瓢箪を詠んだ句は結構あるが、その中で特に「青瓢箪」「青瓢」で詠んだ句を選んで以下にいくつか掲載した。
【青瓢箪、青瓢の参考句】
ふらふらとして怪我もなき青瓢 (井上井月)
青瓢ぶら~病の秋久し (尾崎紅葉)
昼寝して顔のかなしき青瓢 (森澄雄)
青瓢日光浴の寝椅子あり (長谷川櫂)
愛されず青瓢箪のくびれかな (大畠新草)