■ 真白きはミゾレの如き夾竹桃
( ましろきは みぞれのごとき きょうちくとう )
昨日は立秋。暦の上では秋に入るが、ここ数日は最高気温が35度を超える猛暑が続いている。予報では今後も一週間以上は続くようだ。
本日の掲句は、そんな折、真っ白な花を木全体に咲かせた夾竹桃(きょうちくとう)を見て詠んだ句である。
中七に使った「ミゾレ」とは、冬に降る霙(みぞれ)でなく、かき氷のことである。かき氷のシロップには、イチゴ味、メロン味、レモン味などいろいろあるが、ミゾレは透明。
尚、本句では夾竹桃が夏の季語。天から降る霙は冬の季語だが、本句では氷菓の一名称なのでこの句では考慮しないことに。
ところで昨年の初夏に沖縄旅行に行った時、バスガイドより面白いことを聞いた。都道府県の県庁所在地別にアイスクリームの消費量を調査したところ、那覇市が最下位の47位だったそうだ。
その理由は、どうも気温に関係があるらしく、「アイスクリームは23℃で売れ始め、30℃で売れなくなる 」ためだそうだ。その代わり、かき氷が急激に売れ始めるとのこと。
確かに、今は濃厚なアイスクリームよりも、冷たくさっぱりしたかき氷が食べたい。関連して、ビールは22℃、麦茶が25℃以上に欲しくなるそうだ。
因みに、「夾竹桃」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 川べりに白夾竹桃の涼しかり
② 秋晴れの天に花挿す夾竹桃
③ 強き日を浴びてまた咲く夾竹桃
①は、川べりの大きな夾竹桃が白い花を咲かせ、川のせせらぎと花の白さが調和して大変涼しげに見えたことを詠んだ。
②は、夾竹桃は秋になっても盛んに咲いており、秋晴れの青空に赤い花が殊更映えているのを見て詠んだ。
③は、6月頃咲き満開になった後、一旦花を全て散らせた夾竹桃が、再び強い日差しを浴びて咲きだしたことを詠んだ。この後、秋の10月頃まで咲き続ける。
夾竹桃は、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑小高木である。インド原産で日本へは、中国を経て江戸時代中期に伝来したという。
花期は長く、6月~10月まで開花する。花は、五弁の一重咲きのもの、八重咲きのものがあり、色も紅、ピンク、白、黄色などがある。名前は、葉が竹に、花が桃に似ていることに由来する。「夾」は「はさむ」の意。
大気汚染などによく耐えて防音効果も期待できるため、工場や車の往来が多い幹線道路の緑化などによく利用される。また、被爆後75年間は草木も生えないと言われていた広島で、いち早く花を咲かせたことから、原爆からの復興のシンボルとなり、広島市の花にも指定されている。
夾竹桃を詠んだ句は比較的多い。その内いくつかを参考まで以下に掲載する。
【夾竹桃の参考句】
病人に夾竹桃の赤きこと (高浜虚子)
阪急は夾竹桃を飜す (京極杞陽)
白夾竹桃のたそがれながし予後の旅 (角川源義)
夾竹桃咲き憔悴が昏れのこる (石原八束)
夾竹桃火屑の如く掃き寄せて (行方克己)
阪急は夾竹桃を飜す (京極杞陽)
白夾竹桃のたそがれながし予後の旅 (角川源義)
夾竹桃咲き憔悴が昏れのこる (石原八束)
夾竹桃火屑の如く掃き寄せて (行方克己)