■ 強き日にお疲れ気味の向日葵君
( つよきひに おつかれぎみの ひまわりくん )
そんな中、特に目についたのが大型の向日葵の花。ただ、暑さのせいなのか俯き加減のものが多かった。本日の掲句は、そんな様子を詠んだものである。向日葵は言うまでもなく夏の季語。
ところで、向日葵と言えばは、ゴッホを引き合いに出すまでもなく、太陽の花というイメージが強い。そんなイメージをかつて以下のように詠んだ。
太陽に向かえばひまわり王の如し
下五の「王の如し」は、中村草田男の「手の薔薇に蜂来れば我王の如し 」の表現を倣ったもの。
過去には他にも幾つか句を詠んでいるが、比較的気に入っているものを以下に再掲する。
【関連句】
① 向日葵は大昔より太陽光
② 向日葵やみんな揃うて東向き
③ 一本の向日葵少しうつむきに
①は、東日本大震災の後、原発に代わるものとして話題になった太陽光エネルギーにかけて詠んだ句。
②は、林立した向日葵の花が皆東向きに咲いているのを見て詠んだ句。さながらモアイ像のようだった。
③は、晩夏の夕暮時に、遊歩道に一本だけ植えられていた向日葵が、少し俯き加減に咲いているのを見て詠んだもの。少し悲しげに見えた。
向日葵は、キク科ヒマワリ属の一年草。原産地は北アメリカ。16世紀にイギリスに伝わり「太陽の花」と呼ばれ、日本には17世紀に伝来したとのこと。花期は、7月~9月。
名前は、太陽の動きにつれて花が回るということからついたそうだが、この動きは生長が盛んな若い時期だけだそうだ。そして、朝に咲き始めた花は東向き、夕方に咲き始めたものは西向きとなり、その後向きが変わることはないとのこと。(但し、植わっている場所の環境にも影響される。)
漢字の「向日葵」は漢名から。 別名 に「日車草(ひぐるまそう)」 、「日輪草(にちりんそう)」などがある。
夏を代表する草花だけに、向日葵を詠んだ句は非常に多い。これまで何句か掲載したことがあるが、今回はそれ以外のものを以下に掲載した。
【向日葵の参考句】
向日葵に天よりも地の夕焼くる (山口誓子)
向日葵の蕋を見るとき海消えし (芝不器男)
夜の向日葵踊り果てたるごとく立つ (宮津昭彦)
穹深く向日葵の背後何もなし (原裕)
向日葵や人呑みこんだままの家 (高野ムツオ)