■ 熊ん蜂飛んで潜って百日紅
( くまんばち とんでもぐって さるすべり )
7月22日に二十四節気の大暑(たいしょ)を迎え、今の時期が年中で最も暑いと言われている。
この時期の代表的な花木と言えば、「夾竹桃(きょうちくとう)」「百日紅(さるすべり)」「木槿(むくげ)」。本日の掲句は、その内の「百日紅」を詠んだもの。
今、近くの民家の植えてある百日紅が満開になっていて、先日の朝見た時には、沢山の熊蜂(熊ん蜂)が蜜を吸っていた。
忙しなく飛び回り、ふわふわした花に潜り込んでいる様子が何とも楽しげにも見えた。「百日紅」は「猿滑り」とも書き、夏の季語。
因みに、「百日紅」「猿滑り」に関しては過去に10数句詠んでいるが、比較的気に入っているものを以下に掲載した。
【関連句】
① このちぢれ天然にして百日紅
② 白花は雪のごときや猿滑り
③ 山猿は何度泣いたか百日紅
①は、縮れた花弁が重なりあっている花の姿を見て詠んだ句。今はどう言うのか知らないが、かつては髪が生まれつき縮れていることを「天然パーマ」と言った。
②は、白花をつける百日紅を見て詠んだ句。雪の上を猿が滑る様子をイメージして、下五は敢えて「猿滑り」とした。
③は、田舎から出てきた山猿(自分?)が、就活に明け暮れた日々を思い起こし、何度すべって泣いたことかと感慨深く詠んだ句である。
③は、田舎から出てきた山猿(自分?)が、就活に明け暮れた日々を思い起こし、何度すべって泣いたことかと感慨深く詠んだ句である。
百日紅(猿滑り)は、ミソハギ科サルスベリ属の落葉中高木。原産地は中国南部。日本には江戸期以前に渡来。花期は、7月から10月頃と長く、秋の終わり頃でも平気で咲いている。
花の形は分かりにくいが、フリルのように縮れた花弁が6枚、中央に多数の短い雄蕊、その周りに6本の長い雄蕊、真ん中に1本の雌蕊がある。それが、いくつも重なって咲くから、遠くから見るとふわふわとした綿のように見える。花色には、白、薄紅(ピンク)、真紅などがある。
和名の「さるすべり」は、木肌に樹皮がなくすべすべしているので、猿も滑って登れないだろうということでつけられた。(実際には簡単に登るそうだ。)「百日紅」の漢字の方は、咲きだすと花を継ぎ百日間も咲き続けるということで付けられた漢名からの当て字。「ひゃくじつこう」とも読む。特に白花の咲かすものを「百日白(ひゃくじつはく)ともいう。
百日紅(猿滑り)を詠んだ句は比較的多く、以前にも本ブログに掲載したことがあるが、以下には、それ以外のものを掲載した。
【百日紅(猿滑り)の参考句】
百日紅百日咲いて開かずの門 (三橋鷹女)
百日紅散る潦午後は失し (加倉井秋を) *潦(にわたずみ)
女来と帯纏き出づる百日紅 (石田波郷)
大伽藍炎上の跡百日紅 (広瀬直人)
百日紅空の青さの衰へず (西村和子)
百日紅百日咲いて開かずの門 (三橋鷹女)
百日紅散る潦午後は失し (加倉井秋を) *潦(にわたずみ)
女来と帯纏き出づる百日紅 (石田波郷)
大伽藍炎上の跡百日紅 (広瀬直人)
百日紅空の青さの衰へず (西村和子)