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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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残る鴨土手は斑にうす緑

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■ 残る鴨土手は斑にうす緑
    ( のこるかも どてはまだらに うすみどり )

イメージ 1先週の土曜日、例により2週間ぶりに植物園に行ってきた。その報告は明日以降にするとして、今日はその近くを流れる賀茂川の情景について触れたい。

ここは鴨川の上流に位置し、もうかなり草も生えてきていると思っていたが、まだまだ岸辺や中州は薄茶色の枯草が覆っていた。

それでも、よく見れば、薄緑色の草が斑に見え、少しづつではあるが春らしくなってきていた。

そんな川中には、だいぶ少なくなった鴨たちが、ゆったりと泳ぎながら、時々水中に顔面をつけ餌をあさっている

本日の掲句は、そんな長閑な情景を詠んだ句である。

「残る鴨」とは、「春深くなっても北方へ帰らずに残っている鴨。」のことで春の季語になっている。

イメージ 2ところで、「残る鴨」と言えば思い出す句に、小林一茶の以下の句がある。

      春雨や食はれ残りの鴨が鳴く

「春雨がしとしとと降る中、鴨の鳴き声が聞こえてくる。あの鴨は、冬の間にうまく猟師から逃れた、食われ残りの鴨なのだろう。」というのが句意。この句では、「残る鴨」を「食はれ残りの鴨」と詠んでいるが、それが何とも滑稽であり憐れでもある。

イメージ 3因みに、「鴨」や「真鴨」「尾長鴨」などの個別の鴨類は冬の季語。夏の季語に「通し鴨」あるが、これは夏になっても北へ帰ることなく営巣・繁殖する鴨を言うそうだ。

イメージ 4参考句には、「残る鴨」を詠んだ句をいくつか掲載した。

     【残る鴨の参考句】
      残る鴨記憶の端にねむりをり   (篠田悌二郎)
      残る鴨羽打ち止まざる水しぶき  (沢木欣一)
      雨あとの空を掻きゆき残る鴨    (橋本榮治)
      大方は小さき鴨や残る鴨      (岸本尚毅)
      葛飾の夕日が好きで残る鴨     (中嶋秀子)

イメージ 5


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