■ 俯きのレンテンローズ春うらら
( うつむきの れんてんろーず はるうらら )
先週の土曜日行った植物園で、まず目を引いたのは「クリスマスローズ」。とはいってもこの花、その名の通り、クリスマスの頃からずっと咲いている。しかも、いつ見ても俯き加減。
こうすることで、「この麗らかな春の陽気の中で、いつまでもふさいでいてはいけないよ。」といった意味を込めた。もっとも、「これは私の性分で変えようがないよ。」という声が聞こえてきそうではあるが。
尚、クリスマスローズは冬の季語になっているが、レンテンローズは季語になっていない。したがって掲句では、「春うらら」を春の季語として使った。
ところで、「クリスマスローズ」というのは、主に地中海沿岸地域に自生するヘレボルス属の総称として、日本で使われている。しかし、海外では、「クリスマスローズ」を早秋から冬に開花するヘレボルス・ニゲルだけを指し、春に開花するものは「四旬節Lentに咲くバラ」という意味のレンテンローズという名で区別しているとのこと。*四旬節:キイスト教で復活祭の前日から40日前までの期間を指す。
クリスマスローズ春の愁いは何ゆえに
4年前に詠んだ句だが、やはり俯きの花の姿を「春の愁い」に掛けて詠んていたようだ。
名前の由来は既述の通りだが、春になっても「クリスマス」では何ともちぐはぐな感じだが、園芸市場ではこの名で通っている。「レンテンローズ」は聞きなれないせいか、あまり流行らない。
【クリスマスローズの参考句】
クリスマスローズ心に街に出し (中村汀女)
クリスマスローズ気難しくて優しくて (後藤比奈夫)