■ 街角をくすぐるようにミモザ咲く
( まちかどを くすぐるように みもざさく )
本日の掲句は、その様子を見て詠んだ句。花のイメージをどう表わすか迷ったが最終的に「くすぐるように」と表現してみた。「ミモザ」は春の季語。
ところで、この花木の呼び方には、人によって違いがあるようだ。ある人は「アカシア」といい、ある人は「ミモザアカシア」という。どれも間違いではないようだが、正式には「銀葉(ギンヨウ)アカシア」という。*別種で「房(ふさ)アカシアもある。
「アカシア」といえば、かつて西田佐知子が歌った「アカシアの雨がやむとき」を思い出す人がいると思うが、ややこしいことに、この歌に出てくるアカシアは、今日紹介した「ミモザ」=「(銀葉)アカシア」とは全く別物である。
この歌に出てくるのは「ニセアカシア」という植物で和名は「針槐(はりえんじゅ)」。「ニセアカシア」という通り、偽物の「アカシア」なのだが、明治時代初期に日本に渡来した時、これを「アカシア」と紹介。後に本物の「アカシア」が渡来し、区別するために「ニセアカシア」にしたそうだ。ただ、元々学名が「pseudo-acacia 」で、それを直訳し「偽のアカシア」=「ニセアカシア」としたという説もある。
更にやっかいなのは、「ミモザ」というのは、本来マメ科オジギソウ属を総称し、「銀葉アカシア」などを「ミモザ」というのは誤用だとも言われている。こうなると何がなんだか分からなくなるので、これ以上は深入りしない。
尚、石原裕次郎「赤いハンカチ」、松任谷由実「acaciaアカシア」などに出てくる「アカシア」は全て「ニセアカシア」だそうだ。どうやら偽物が本物に完全にとって代わってしまったようだ。
青空に陽気ころがし花ミモザ
やはり、ミモザは明るい雰囲気が似合う。
【ミモザの参考句】
すすり泣くやうな雨降り花ミモザ (後藤比奈夫)
花ミモザ黄み掻き立てて咲けるなり (高澤良一)
ミモザ咲き地球は青いとは言へず (後藤立夫)
花ミモザ溢るるごとき明日はあり (佐藤美恵子)
若者をつゆ見ぬ島の花ミモザ (尾熊靖子)