■ 新年ももう三月や福寿草
( しんねんも もうさんがつや ふくじゅそう )
実のところ、正月に花屋さんで売られているものは、正月に合わせて咲くように温室栽培されたもので、自然には2月初頃に咲き、丁度今頃に最盛期を迎える。*今年の旧正月は2月8日。
しかし、「福寿草」は新しい区分でも新年の季語になっている。本来は春の季語に分類すべきと思うが、そのめでたい名前のせいもあり、なかなかそうはならない。
本日の掲句は、そんなこともつらつら考えながら詠んだ句である。思えばもう3月、微妙な位置にある福寿草を見るにつけ、時が過ぎ行く早さをつくづく感じる今日この頃である。季語は「三月」(春)。「福寿草」は季語としては考慮しない。
因みに、福寿草に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 春なかばやっと会えたね福寿草
② 春の陽を浴びて耀う福寿草
③ 固陋なる旧正月の福寿草
②は、大きく広げた黄色い花弁が、春の陽を受けて輝いているのを見て詠んだ句。
③は、「福寿草は、新暦になり正月が1か月以上早まったからと言って、早く咲くわけにはいかない。だから固陋(ころう)に旧正月に合わせて咲くのだ。」という句意。
③は、「福寿草は、新暦になり正月が1か月以上早まったからと言って、早く咲くわけにはいかない。だから固陋(ころう)に旧正月に合わせて咲くのだ。」という句意。
また、この花は蜜を持ってない代わりに、パラボラアンテナのような花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引する。その為、日光が当たると開き、日が陰ると閉じて保温性を高めている。根と茎は有毒。
【福寿草の参考句】
福壽草影三寸の日向哉 (正岡子規)
福寿草遺産といふは蔵書のみ (高浜虚子)
紙漉きの干し場に咲ける福寿草 (田中冬二)
日は一ぱい相寄りもたれ福寿草 (及川貞)
地面から宙がはじまる福寿草 (宮坂静生)
地面から宙がはじまる福寿草 (宮坂静生)