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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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道の辺はペンペン草の宴かな

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■ 道の辺はペンペン草の宴かな
                  ( みちのべは ぺんぺんぐさの うたげかな )

イメージ 1先日、大通りの歩道を歩いていたら、街路樹の下で薺(なずな)が群生し花を咲かせているのを見かけた。

薺と言えば、春の七草の一つであることは知っている人も多いと思うが、町中で見かけることはあまりない。

それが、たまたま街路樹の下の狭い土地に群生していたので、近づいて見ると、あの三味線の撥(ばち)に似た実を沢山つけていた。

その実の形から、薺は「ぺんぺん草」あるいは「三味線草」とも言われている。

本日の掲句は、そのことに寄せて詠んだ句である。沢山の実が揺れていたので、賑やかな宴(うたげ)に喩えて詠んでみた。

「薺」は春の七草の一つなので新年の季語になっているが、「薺の花」「薺花」「ぺんぺん草」「三味線草」とすると春の季語になる。

因みに、「ぺんぺん草」では、過去に以下の句を詠んでいる。趣向は本日の掲句とほとんど変わらない。

           調子よくぺんぺん草とは愉快なり


イメージ 2薺(なずな)は、アブラナ科ナズナ属の越年草。
原産地は中国で、ムギ栽培の伝来と共に日本に渡来した史前帰化植物だと言われている。花期は2月~6月。4枚の白い花弁を持つ小さな花(直径3mmほど)を多数、花穂に付ける。

名前の由来は、夏になると枯れることから夏無(なつな)になった、あるいは、撫でたいほど可愛い花の意味で撫菜(なでな)となったなど諸説ある。

イメージ 3「ぺんぺん草も生えない」という慣用句があるが、これは、荒廃した場所で育つ薺でさえも生育しない様子から、転じて何も残っていない状態、一切合財が残らない状態を揶揄した表現として用いられている。

ただ、この草も町中では雑草として駆除されてしまい、今は見つけることが非常に難しくなった。あまり整備されすぎ、だんだんと味気なくなるのもどうかと少し心配になってくる。

イメージ 4参考句は、「薺花」「三味線草」「ぺんぺん草」で詠まれたものをいくつか掲載した。

    【薺等の参考句】
     よく見ればなづな花咲く垣根かな  (松尾芭蕉)
     妹が垣根三味線草の花咲きぬ   (与謝蕪村)
     行燈やぺんぺん草の影法師      (小林一茶)
*行燈(あんどん)
     ぺんぺん草奏づる風が出て来たり (高澤良一)
     雨の粒ぺんぺん草のペンペンに    (辻桃子)

イメージ 5

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