■ ビオラ咲きヴィオロンの音の微かなる
( びおらさき びぃおろんのねの かすかなる )
本日の掲句はそんな花を見て詠む読んだ句。「ビオラ」は、菫(すみれ)の仲間なので、本句では春の季語として使用した。(花期が長いので季語にしてない歳時記もある。)
中七の「ヴィオロン」とはフランス語のViolonで「バイオリン」のこと。響きが良いので使った。
「秋の日のヴィオロンのためいきの身にしみて・・・」(落葉:ポール・ヴェルレーヌ作上田敏訳)の詩は教科書にも掲載されたので知っている方も多いと思う。
ところで、掲句は、花のビオラから楽器のビオラを連想し、バイオリンにかけて詠んだ句だが、実際に、この二つのビオラはどんな関係があるのか。少し興味が湧いたので調べたことがある。
一方、楽器のビオラもViolaと書くが、胴の部分がビオラの花の形に似てるので、その名前が付けられたと言う説がある。そう言われれば似てないこともないが、語源的には全く関係がないという異説もあり、確証は得られなかった。
余談だが、バイオリンは、小さなビオラという意味であり、語源的にはバイオリンを大きくしたのがビオラではないとのこと。
【関連句】
① 雪かぶり嗚呼いたわしきビオラかな
② びっくりのミッキーに似せビオラ咲く
③ 奏でるは春のワルツかビオラ咲く
①は、雪に埋もれているビオラを見て詠んだ句。毎日見ていた花なので少々いたわしく思った。
②は、ビオラの花をよく見ると、ミッキーマウスが何かにびっくりして目を閉じているような顔に見えるということを詠んだ句。因みにパンジーは髭おやじに見える。
③は、今回同様ビオラを楽器にかけて詠んだ句。
現在園芸上では、パンジー(三色スミレ)の仲間で小輪のものをビオラと呼んでいるが、パンジーとの定義の区別はかなり曖昧。だいたい花径5cm以上をパンジー、4cm以下をビオラとすることが多いとのこと。
参考句に関しては、ビオラを詠んだ句がほとんどないので割愛する。