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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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冬日さす白妙の衣那智の滝

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■ 冬日さす白妙の衣那智の滝
              ( ふゆひさす しろたえのきぬ なちのたき )

イメージ 1南紀の旅二日目の朝は、先ず日本三大名瀑の一つと言われる「那智の滝」に向かった。今回の旅行で最も見たかった名所の一つである。

ホテルよりバスで30分弱のところにあり、「鎌倉積石階段」を降りていくと、暫くして、大杉の枝の間から滝らしきものが見えてきた。更に近づくと長大な滝の全容が見えてきた。まさしく想像以上の景観である。

本日の掲句は、その時見た滝の印象を断崖にかかった「白妙の衣」に喩えて詠んだ。おりしも当日は晴天で、冬の薄日が滝を照らし神々しく感じた。尚、「滝」は夏の季語なので、上五に「冬日」をおいて冬の句とした。


ところで、「那智の滝」を詠んだ句と言えば、真っ先に挙げられるのが、高浜虚子の以下の句である。


     神にませばまことうるはし那智の滝

また、水原秋桜子の以下の句も、那智の滝を詠んだと言われている。

     滝落ちて群青世界とどろけり 

いずれの句も、非常にスケールの大きい句で、この滝に相応しい名句である。

イメージ 2那智の滝は、那智山中にかかる四十八滝の最下流の一の滝。銚子口の幅は13m、落差133mあり、高さ、水量ともに日本一と言われている。原始林の断崖を落下する荘厳さから、古代より、滝自体を神体として崇められてきた。

イメージ 3この滝は既述の通り日本三名瀑の一つだが、他の二つは栃木県日光の「華厳の滝(けごんのたき)」、茨城県奥久慈の「袋田の滝(ふくろだのたき)」だと言われている。この内、「華厳の滝」には、数年前の春に訪れ以下の句を詠んだ。

     春の陽を浴びて奈落へ華厳瀧

この滝は、幅10mで落差が97mある。春とはいえ、まだ枯木がほとんどで、非常に寂漠としていたが、水が滝壺に向かって真っ直ぐに落ちる姿は壮観だった。

イメージ 4尚、この日は他に熊野那智大社などの熊野三山や熊野古道を回ったが、そのことに関しては、明日のブログで報告したい。

「那智の滝」は俳枕にもなっており詠まれた句も多い。以下には、上記以外の句をいくつか掲載した。

     【那智の滝の参考句】  
      那智の滝見るたのしみの花の旅  (星野立子)
      一月や素の水落す那智の滝    (森澄雄)
      むらさきを重ぬる秋の那智の滝   (川崎展宏)
      轟きに虹を架けたり那智の瀧     (五島高資)
      落下する先も虚空や那智の滝    (稲岡長)

イメージ 5

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