■ 南紀の旅 二句
○ 串本の冬の黒潮温かき
( くしもとの ふゆのくろしお あたたかき )
(写真①:串本海中公園水族館にて)
旅行の第一日目は、白浜を経由し、串本の海中公園、水族館に立ち寄った。本日の第一句は、その時に、串本の海は、黒潮のため年中温かく、今も21度あると聞いて詠んだ句である。本句は「冬」「温かい」が冬の季語で季重なり。
水族館には近海の魚類だけを展示しているそうだが、沖合140m、水深6.3mの海底海中展望塔からは、実際に熱帯魚がたくさん泳いでいる様子が見えた。
一日目は、他に「円月島(えんげつとう)」「潮岬(しおのみさき)「橋杭岩(はしくいいわ」などを見たが、これらについては、写真だけ後掲する。
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(写真②:串本海中展望塔)
観光を終え、この日は南紀勝浦温泉にあるホテルに泊まった。本日の第二句は、翌日の早朝、そのホテルの露天風呂に入った時に詠んだ句である。露天風呂からは空と海が一望でき、辺りが少し明らんできていた。寒暁(かんぎょう)は「冬の寒い明けがたのこと」で冬の季語。
○ 勝浦の寒暁かすむ露天風呂
( かつうらの かんぎょうかすむ ろてんぶろ )
(写真③:宿泊ホテルより)
因みに、一泊以上の旅行の時は大概温泉(露天風呂)に入るが、過去には以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 万座湯の煙は白き岳かんば
② 由布暮れて凍て星を見ゆ露天風呂
③ 草津湯の露天に騒ぐ春嵐
(写真④:白浜町の円月島)
①は、群馬の万座温泉で6月中旬に詠んだ句。この温泉は、日本最高所にある温泉。岳樺(だかかんば)は、白樺と同じ仲間でホテルの周囲に生育していた。
②は、大分の由布院温泉で1月初旬に詠んだ句。由布岳は暗くて見えなかったが、その方角に煌々と輝く星がいくつか見えた。
③は、群馬の草津温泉で3月末に詠んだ句。見えるものは、残雪と大きな樹木の陰影だけ。時折、強い風が吹き、ごうごうと唸るような音が聞こえてきた。
②は、大分の由布院温泉で1月初旬に詠んだ句。由布岳は暗くて見えなかったが、その方角に煌々と輝く星がいくつか見えた。
③は、群馬の草津温泉で3月末に詠んだ句。見えるものは、残雪と大きな樹木の陰影だけ。時折、強い風が吹き、ごうごうと唸るような音が聞こえてきた。
(写真⑤:串本町の潮岬より)
参考句に関しては、特に「露天風呂」を詠んだものを集めてみた。
【露天風呂の参考句】
五月富士眺めつつ入る露天風呂 (梅田男)
赤蜻蛉翔び交ふ山の露天風呂 (土屋保夫)
紫陽花の少し横向く露天風呂 (長尾則夫)
肩を打つ作り滝あり露天風呂 (前田桃邨)
老鶯も来て鳴く朝の露天風呂 (山王堂正峰)
(写真⑥串本町の橋杭岩)