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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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白梅も裸になればすさまじき

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■ 白梅も裸になればすさまじき
               ( しらうめも はだかになれば すさまじき )

イメージ 1今日も植物園からの記事になるが、この時期は花も少なく、目にするのは、すっかり葉を落とした裸木と常緑の針葉樹。人もほとんどいないので、文字通り森閑としており、時折聞こえてくるのは、野鳥の甲高い囀りだけ。

こんな時は、花とは違った所に目が行くが、この日は、複雑に枝が曲がりくねっている梅の裸木に目が引かれた。本日の掲句は、その様子を詠んだものである。

この句の下五「すさまじき」は、「すさまじ」の連体形。漢字では、「凄まじ」あるいは「冷まじ」と書くが、その主な意味を列挙すると以下のようになる。

①恐怖を感ずるほどすごい。逃げ出したくなるほど恐ろしい。
②勢いや程度が異常に激しい。
③あきれるほどひどい。非常識きわまりない。
④物足りずさびしい。荒涼としている。情趣がない。
⑤さむざむしい。ひえびえする。

掲句では、これらの意味を併せ持って使った。

イメージ 2特に⑤の意味で季語にもなっているので都合が良いと思ったのだが、念のため確認すると冬ではなく秋の季語。すなわち、「晩秋の急に身に迫る冷やかさ」を言うようで、若干意味合いが違う。

そんなこともあり、修正するべきか否か迷ったが、梅の裸木の景は晩秋にも見られたものであり、このまま残すことにした。「すさまじき」という言葉はやはり外しがたい。

イメージ 3さて、掲句の句意についてだが、簡略に言えば「あの妖艶な花を咲かす白梅も、裸木ともなれば荒涼として寒々しい」というもの。もう少し深読みすれば、いろいろな解釈ができると思うが、ここでは触れない。

イメージ 4参考句は、「すさまじ」「冷まじ」を詠んだものを何句か掲載した。意外とよく詠まれている。

     【すさまじ、冷まじの参考句】
      すさまじや此山奥の石仏       (正岡子規)
      山畑に月すさまじくなりにけり    (原石鼎)
      閉づるなき眼冷まじ兵馬俑     (山田弘子)
      和ろうそく作り冷まじ親爺の手   (高澤良一)
      すさまじきものを咥へて猫帰る   (長谷川櫂)



*本記事は日時指定により投稿したものです。本日より旅行のため、コメントへの返信は27日以降になります。ご了承ください。

イメージ 5

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