■ 水鳥の色とりどりの水辺かな
( みずとりの いろとりどりの みずべかな )
本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。お読みいただければ分かるように、もっぱら言葉の調子を求めた句である。「水鳥」は冬の季語。
水鳥の名前については、俳句をやるまではあまり興味がなく、ほとんど知らなかった。最近では、このスポットなどで見る水鳥については、何とか分かるようになった。
今回は、その紹介も兼ねて、これまで詠んだ句と写真をあわせて掲載したい。尚、写真は過去に撮影したものも一部掲載している。
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●真鴨(まがも)
紅葉散る池に睦まじ
番い鴨
カモ科マガモ属の鳥で冬鳥に分類されるが、最近では通年でみられる。番いは、越冬中の10月末~12月に形成され、春には雄雌が連れ立って繁殖地へ渡る。繁殖期は4~8月。抱卵・育雛はメスのみで行うが、この時に番いの関係は解消されるとのこと。
●金黒羽白(きんくろはじろ)
幾たびも潜る羽白や
冬の川
カモ科ハジロ属に分類される鳥。ユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になると南下し越冬。水に潜って餌をとる。名前は、初列風切の上面に白い斑紋が入っていることで「ハジロ」といい、目の虹彩(こうさい)が黄色(金)で羽衣が黒なので「キンクロ」がつき、「キンクロハジロ」となったとのこと。
●百合鴎(ゆりかもめ)
ゆりかもめ渡る世界も
寒々し
百合鴎は、カモメ科カモメ属の冬鳥。秋ごろ北海道から南西諸島まで広く渡来して越冬し、春、北方に去ってそこで繁殖する。くちばしと脚が赤く、冬羽は全体に白いが夏羽になると頭部が黒褐色になる。「百合の花のように美しい」ということで、この名がついたと言われるが異説もある。
●鴛鴦(おしどり)
鴛鴦や置物のごと
池の縁
カモ科オシドリ属に分類される鳥。北海道や本州中部以北で繁殖し、冬季になると本州以南(主に西日本)で越冬する。色彩豊かな姿になるのは繁殖期の雄のみ。仲が良い夫婦を「おしどり夫婦」と呼ぶが、鳥類の鴛鴦は、冬ごとに毎年パートナーを替え、育雛も夫婦で協力することはない。
この他、尾長鴨(おなががも)、緋鳥鴨(ひどりがも)、星羽白(ほしはじろ)、川鵜(かわう)もよく飛来するが、個別の句はできてないので掲載は割愛する。
参考句に関しては、「水鳥」で詠んだものをいくつか掲載した。
【水鳥の参考句】
水鳥を吹(き)あつめたり山おろし (与謝蕪村)
不忍や水鳥の夢夜の三味 (河東碧梧桐)
水鳥に西吹く風となりにけり (水原秋桜子)
水鳥の川わかれては夕日さす (百合山羽公)
水鳥のしづかに己が身を流す (柴田白葉女)