■ 花火大会 三句(連作)
○ 蝙蝠も驚く人出花火前
( こうもりも おどろくひとで はなびまえ )
○ 誰そ彼の闇深まりて花火咲く
( たそがれの やみふかまりて はなびさく )
○ 火花散り音耳破る花火かな
( ひばなちり おとみみやぶる はなびかな )
。昨年に行こうと思っていたが台風接近による雨で中止。今回が初めての参加となった。
打ち上げ開始が7時50分なので、かなり余裕を見て、最寄り駅を6時頃出発。しかし、40分ほど歩いて着いた会場付近の河川敷は踏み場がないほどに混雑していた。
それでも、何とか土手の一画に場所を確保。辺りは、うっすらと夕焼けの名残りの赤黄色が残る黄昏時(たそがれどき)となり、相手の顔の見分けがつかない、まさに「誰そ彼(たそがれ)」状態だった。
開始まで1時間弱。ぼんやりと空を見ていると、時々、蝙蝠(こうもり)が数匹、忙しなく飛び交っていた。おそらく蝙蝠も突然の人出に何事かと驚いていることだろう。本日の第一句は、その時の様子を詠んだ句である。
本日の第二句は、そのことを詠んだ句である。今か今かと待っていたのだが、ふいを付かれた感じであり、さすがにびっくりした。
第三句は、その時の様子を詠んだ句だが、遠方から見たり、映像で見るのとでは、やはり迫力が全然違う。花火の火花が飛び散る様子、耳をつんざくような強烈な音。特に音の大きさは半端でなく、鼓膜が終わりまで持つか心配した程である。
「行きは良い良い帰りは辛い」。体力に自信がない人は、大きな花火大会は絶対避けるべし。この日に得た最大の教訓である。
ところで、「花火」は夏の季語なのか秋の季語なのか。、もともと秋祭りの奉納として打ち上げられたこともあり、秋の季語になっているようだが、花火大会が立秋(今年は8月8日)前に行われ所も多く、夏の季語としている歳時記もあるとのこと。
【花火の参考句】
舟々や花火の夜にも花火売 (小林一茶)
空に延ぶ花火の途の曲りつつ (高浜虚子)
葛飾の闇へと靡く花火かな (菅裸馬)
暗く暑く大群集と花火待つ (西東三鬼)
歓声を吸ひこみ開く大花火 (阪尻勢津子)