■ 宙に浮く揺り椅子のごと雁金草
( ちゅうにうく ゆりいすのごと かりがねそう )
花弁を背中にし、上の2枚を頭に当て、横の2枚に手を置き、下の長い花弁に足を延ばす。上に大きく飛び出し、湾曲した雄蕊と雌蕊は自由自在に動く照明灯や方向を感知するセンサーなど様々な役割を担う。
そんなことも想像しながら詠んだのが本日の掲句である。中七を「揺り椅子のごと」としたが、本当のところ光エネルギーで空を自由自在に飛ぶ乗り物を兼ねた椅子にしたかった。七文字ではそのことを表現できないので、やむを得ない。
尚、雁金草は季語ではないが、この時期に咲く花なので、夏もしくは秋の季語に準じて使用した。因みに、新しく季語にするかどうかは、各歳時記の編集者の判断によるそうだ。特に、名の知れた俳人が名句を詠めば認められやすい。
非常に長い雄蕊と雌蕊(花柱)が飛び出していて、蜜を取りに来た花蜂などが花に飛びつくと、その重みで花がしなり、雄蕊の花粉が背中に付き、更には花粉が花柱につくなどして受粉する仕掛けになっているとのこと。
花の姿がユニークなので、古来よりいろいろな見立てがあったようだ。
季語にもなっていないので、「雁金草」を詠んだ句はなく、今回も参考句は割愛する。