■ 戻り梅雨サフラン擬きがんもどき
( もどりつゆ さふらんもどき がんもどき )
本日の掲句は、その「戻り梅雨」と「サフラン擬き(もどき)」との配合で詠んだ句である。下五の「がんもどき」は言葉の調子で付け足した。少々意味不明の戯れ句になったが、サフラン擬き(写真)を紹介するために敢えて掲載することにした。サフラン擬きは季語でないので、本句では「戻り梅雨」が季語(夏)。
この花に関して面白いのは、名前に「擬き」が付けられていることである。日本に持ち込まれた当初は、「サフラン」と呼ばれていたが、別に本物のサフランがあることが分かり、「サフラン擬き」と改名されたそうだ。
この「擬き」という言葉は、他のあるものに似ているが違うものという意味で、最近では「パクリ」とかと同じような使い方もされている。そんなこともあり、過去には花に同情して以下の句を詠んでいる。
擬きでは洒落にならないサフラン擬き
更に残念なことは、花がサフランにあまり似ていないということ。サフランはアヤメ科のクロッカスの仲間で花は半開きなのに対し、この花はヒガンバナ科で大きく開いている。
・梅擬き ・蔓梅擬き ・石楠花擬き ・瑠璃茉莉擬き ・枇杷擬き ・藤擬き ・橘擬き など
尚、「がんもどき」は漢字で「雁擬き」と書くが、もともとは精進料理で、雁の肉に味を似せたということから、この名がつけられたと言われている。
堰の音聞いて涼しきサフラン擬き
川の岸辺に咲いていたサフラン擬きを見て詠んだ句。堰の音がして何とも涼しげだった。
別名に「レインリリー」があるが、乾燥の後に雨が降って球根が潤うと花茎をのばし、開花する性質があるため命名されたとのこと。「ゼフィランサス」ともいう。白い花を咲かす「玉簾(たますだれ)とは同属。
「サフラン擬き」は季語になっていないせいもあり、詠まれた句はほとんどないので、参考句は割愛する。