■ 山茱萸の天は黄金に霞みけり
( さんしゅゆの てんはこがねに かすみけり )
その後は、注意して見るようにもなり、方々で見かけるようになったが、中でも素晴らしいと思ったのは、植物園に植えてある山茱萸である。樹高が5~7mほどで樹全体に黄色の小さな花を散りばめるように咲かせる。
本日の掲句は、その山茱萸が満開になっているのを先日見て詠んだ句である。写真を見ればある程度想像できると思うが、実際のものとは比べ物にならない。「山茱萸」「山茱萸の花」は春の季語。「山茱萸の実」は秋の季語。
因みに、山茱萸に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 山茱萸やチョコ色の枝に黄花映ゆ *枝(え)
② 山茱萸の黄金に霞む真如堂 *黄金(こがね)
①は、雨上がりに見た山茱萸の枝がチョコレート色で、花の黄色がとても映えて見えたことを詠んだ。その配色は祭の屋台で売られているチョコバナナそっくりだった。②は、京都の東山の麓近くにある真如堂というお寺で詠んだ句。たくさんの花が重なり合って、御堂が霞んで見えた。
別名で「春黄金花(はるこがねばな)」ともいうが、花の様子を見ると、この名前の方が似つかわしい感じがする。
【山茱萸の参考句】
山茱萸の花完結のなく続く (後藤夜半)
山茱萸の花にぞろりと佇める (深見けん二)
山茱萸にきれいな日向ありにけり (大木あまり)
山茱萸の花のこぞりて黄を凝らす (塩川雄三)
山茱萸や合格の子の手の火照り (原田天秋)