■ 風信子どんな女やらヒヤシンス
( かぜのぶこ どんなひとやら ひやしんす )
「信子」を「しんす」と読むのは分からないでもないが、「風」を「ひや」とはいくらなんでも読めない。風が吹く時の音で「ひゅー」をもじったのだろうか。「飛信子」という当て字もあるそうだが、この方は「ひ」と呼ぶからまだ近い。
本日の掲句は、「風信子」の名前を始めて見た時、誰だろうと思って調べ、それがヒヤシンスと知った時のことを句にした戯れ句である。とうに知っていた人にしてみれば訳の分からない句かも知れない。ヒヤシンスは春の季語。
さて、俳句で最初に戸惑うことの一つが、花などの名前に当て字が非常に多いということである。風信子はまだ分かるが、漢字名をそのまま当て字にしたり、由来が分からないものも結構ある。
例えば以下の漢字は、何と読むか分かるだろうか。試みに後の答を見ずに答えてみていただきたい。
①山茶花 ②百日紅 ③向日葵 ④蒲公英 ⑤紫陽花
⑥無花果 ⑦梔子 ⑧石楠花 ⑨躑躅 ⑩薔薇
①さざんか ②さるすべり ③ひまわり ④たんぽぽ ⑤あじさい
⑥いちじく ⑦くちなし ⑧しゃくなげ ⑨つつじ ⑩ばら
次に、ひらがなの花を上の漢字を見ずに書いてみていただきたい。多分俳句をやる人でもこれを全部書ける人は少ないのではないだろうか。特に⑨、⑩をすらすらと書ける人は尊敬に値する。
いろいろ頭を使ったところで最後に締めくくりの一句。
頭をばちょいとここらでヒヤシンス
面白いことに、ヒヤシンスの場合、風信子、飛信子を使った句はほとんど見かけない。人の名前と混同されるのを避けるためだろうか。以下ではヒヤシンスで詠まれた句をいくつか掲載した。
【ヒヤシンスの参考句】
いたづらに葉を結びありヒヤシンス (高浜虚子)
敷く雪の中に春置くヒヤシンス (水原秋桜子)
母の声子の声まじりヒヤシンス (中村汀女)
居残りの灯の閑かなりヒヤシンス (日野草城)
遺失物係の窓のヒヤシンス (夏井いつき)
敷く雪の中に春置くヒヤシンス (水原秋桜子)
母の声子の声まじりヒヤシンス (中村汀女)
居残りの灯の閑かなりヒヤシンス (日野草城)
遺失物係の窓のヒヤシンス (夏井いつき)