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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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一面に陽気広げて黄水仙

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■ 一面に陽気広げて黄水仙 
        ( いちめんに ようきひろげて きずいせん )

イメージ 1寒さが少し戻ってきた感じで、何となく鬱陶しいが、その気分を一新すべく、今日は黄水仙の句を掲載した。この句も先日行った植物園で詠んだ句である。

白い花弁の真ん中に黄色の副花冠がある日本水仙は、日本的な清楚さがあり、どちらかという冬に似合う花だが、黄水仙は、花全体が黄色でそれと比べれば華やかで陽気な感じがする。掲句は、そんな花の印象を詠んだものである。黄水仙は春の季語。日本水仙は冬の季語。

ところで、ご承知の通り、黄色は色の三原色の一つであるが、これから段々とこの色の花が目だってくる。菜の花(なのはな)、蒲公英(たんぽぽ)、連翹(れんぎょう)、三椏(みつまた)、山吹(やまぶき)などなど。

これらの花が何故黄色を選んだのか知る由もないが、おそらくは、花粉を運ぶ虫たちにとっても視認性の高い色だからだろう。また、黄色は温暖色で開放感を与え、行動を活性化すると言われている。虫たちとても多分同じなのではないだろうか。

イメージ 2話は少し横道に逸れるが、黄色に対する見方は、国や宗教の文化的背景などによりかなり違うようである。

宋代から清代までの中国では、黄色は皇帝・皇位を表す色として尊ばれていたが、現代の中国では、黄色と書くと「エッチな」・「卑猥な」の意味となり、日本でいうピンクと同様の意味合いで使われるそうだ。

西欧のキリスト教の世界では、イエスを裏切ったユダの服が黄色だったことことから「裏切り」、「嫉妬」、「嫌悪」といったマイナスイメージがあるとのこと。また、イスラム教では死を象徴する。一方、ヒンドゥー教、道教、儒教、仏教にとっては最高色として尊ばれてきたそうだ。

日本では、奈良時代の冠位十二階において、上から7番目、8番目の位を示す色であったが、他の場面では特に重用されていない。

イメージ 3黄水仙は、ヒガンバナ科スイセン属の多年草。原産地は地中海沿岸で江戸末期に渡来した。花期は3月~4月。花には6枚の花被(萼と花弁)があり、中心にカップ状の「副花冠」がある。その中には1本の雌蕊と6本の雄蕊が上下2列ありしっかりとガードしている。

参考句は、黄水仙を詠んだものをいくつか掲載した。

      【黄水仙の参考句】
       俄雪日を泛べたり黄水仙     (水原秋桜子)
       道端の垣なき庭や黄水仙     (前田普羅)
       黄水仙尚霜除のありにけり    (長谷川零余子)
       突風や算を乱して黄水仙      (中村汀女) *算(さん)を乱す:散乱する
       黄水仙ひしめき咲いて花浮ぶ   (高濱年尾)

イメージ 4


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