■ 外つ国の人よ人よの紅葉頃
( とつくにの ひとよひとよの もみじごろ )
11月も半ばを過ぎて、京都の紅葉も見頃になってきた。最近は特に外国からの観光客も多く、紅葉の名所へ行けば、中国語、韓国語、英語など様々な言葉が飛び交っている。
本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。上五の「外つ国」とは、いうまでもなく「外国」のことで、「つ」は「の」の意の格助詞。中七の「人よ人よ」は人の多さを表現したもの。季語は「紅葉」で季は秋。
ところで、中七の「人よ人よ」という言葉の調子、どこかで聞いたことがあると思われた方もいると思うが、中学時代に習った√2の概数を覚える語呂合わせからの引用である。今や懐かしい思い出だが、参考まで以下に掲載する。
√2 = 1.41421356… 一夜一夜に人見頃
(ひとよひとよにひとみごろ)
√3 = 1.7320508075… 人並みに奢れや女子
√3 = 1.7320508075… 人並みに奢れや女子
(ひとなみにおごれやおなご)
√5 = 2.2360679… 富士山麓鸚鵡鳴く
√5 = 2.2360679… 富士山麓鸚鵡鳴く
(ふじさんろくおーむなく)
もう一つ余談だが、「外つ国」とは、かつて畿内以外の国のことを言ったそうだ。畿内とは、京に近い国々で山城国・大和国・河内国・和泉国・摂津国の五か国のこと。これらは、内つ国(うちつくに)ともいう。
話は戻って、紅葉に関しては、過去に何句も詠んでいるが、比較的紅葉が盛りの頃の句を以下に再掲したい。
【関連句】
① 色鳥の声かしましく紅葉濃し
② 色映ゆるいろは紅葉の古刹かな
③ 葉を重ね色重ね燃ゆ紅葉かな
①は、秋に渡ってくる小鳥=色鳥(いろどり)に、紅葉の彩(いろどり)にかけて詠んだ句。「色鳥」も秋の季語なので本句は季重なりになるが、敢えてそのように詠んでみた。②は、紅葉で有名な古寺(古刹)で、イロハモミジが本格的に色づいてきているの見て詠んだ句。やはり、イロハモミジの紅葉は格別である。
③は、様々な木々の葉が重なり合って、燃えるような景色を作っている様を詠んだ。楓(かえで)が紅葉してくるとその様が一段と雅やかになってくる。
紅葉を詠んだ句は実に多いが、特に盛りの時期に詠まれたと思われるものをいくつか以下に掲載する。
紅葉茶屋かはらけなげに賑へり (池内たけし)
紅葉の賀わたしら火鉢あつても無くても (阿波野青畝)
紅葉の色きはまりて風を絶つ (中川宋淵)
木の色の仏に紅葉明りかな (林翔)
谷水に紅葉づくしの空あそぶ (原裕)