■ 大鷲の翼の如く鱗雲
( おおわしの つばさのごとく うろこぐも )
先日4時過ぎ頃、鴨川沿いを散歩している時に、西の空に大きな鱗雲(うろこぐも)が空を覆っているのを見た。それは、まるで大鷲(おおわし)が翼を広げて飛翔しているような感じだった。
ところで、鱗雲は巻積雲(けんせきうん)の俗称だが、魚の鱗に似ていることからその名がついた。この雲には、他にも鯖雲(さばぐも)、鰯雲(いわしぐも)という呼び名がある。
鯖雲は、鯖の背の模様のように波状になっていることから、鰯雲は、鰯の群れのように見えるからそう呼ばれるようになったそうだ。鰯が大漁になる兆しだとも言われている。
他に似たような雲としては羊雲(ひつじぐも)というのがあるが、こちらは高積雲(こうせきうん)の俗称で1つ1つのかたまりがやや大きい。ただ区別は非常に難しい。尚、鱗雲、鰯雲、鯖雲はいずれも秋の季語。羊雲は不明。
因みに、鱗雲に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① うろこ雲何とでっかい魚かな
② うろこ雲顔があるなら拝ませろ
①は、鱗雲を文字通り魚の鱗に見立て、何とでっかい魚かと詠んだ。②は、その魚に顔があるなら、どんな顔をしているのか見たいので、拝ませろと詠んだ。いずれも、空全体をすっぽりと覆っている鱗雲を見て詠んだ句である。
この雲を鰯雲、鯖雲で詠んだ句も結構多いが、参考句は鱗雲に限定して掲載した。
【鱗雲の参考句】
鱗雲ことごとく紅どこから暮る (橋本多佳子)
飛行雲時経て鱗雲と化す (山口誓子)
とり返せぬ廃墟の広さ鱗雲 (津田清子)
人烟にしばらくは朱の鱗雲 (林田紀音夫)
杉山に鱗重ねし鱗雲 (原裕)