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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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秋思かな枯紫陽花に赤みさす

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■ 秋思かな枯紫陽花に赤みさす
                    ( しゅうしかな かれあじさいに あかみさす )
 
                                                    写真①
イメージ 1何で今頃、紫陽花(あじさい)と思われるかも知れないが、今、近辺で花が赤みがかった紫陽花をよく見る。当ブログをよくご訪問いただく方には思い出してもらえると思うが、去る8月4日に以下の句を掲載した。(写真①)

 紫陽花や色落ちぬれば緑なり

夏の代表的な花が、立秋を迎える前に青紫の色を落とし、薄緑色に変色したことを詠んだものである。既に薄茶色に変色していると思っていたので、これはこれで新鮮な驚きだった。そして、この記事の末尾に、この後水気を失ってドライフラワーのようになり、薄茶色になるだろうと記載した。
 
                                                                         写真②
イメージ 2ところがである。先般、その紫陽花を見ると、今度は写真②のように赤みがさしているではないか。何と秋も過ぎようとしているというのに、まだ熱気が残っていたか。そんなことも考えながら詠んだのが、本日の掲句である。(写真②~⑤)

本句では、この紫陽花を枯紫陽花としたが、前の緑の時よりも枯れた雰囲気があるので、この言葉を使った。上五を何にするか迷ったが、「秋にもの思うこと」「秋のあわれ」という意味の季語「秋思」を使った。「枯紫陽花」は季語ではない。

それでは、どうしてこのように変色するのか。ご承知の方も多いと思うが、梅雨時に咲く花は、その土壌によって違い、酸性にすれば青色に、中性から弱アルカリ性ではピンク色になると言われている。

しかし、花の色が落ちた後に緑や赤に変化するのは、その原理とは違い、花の色素が少しずつ分解されて起こるものだそうだ。赤くなるのは紅葉と原理的には同じで、老化現象の一種だとのこと。より詳しいことは、専門的になるので割愛する。
                                                      写真③
イメージ 3
 
ところで、秋に入り、このように変色する紫陽花について、「秋色あじさい」と呼ばれていることはご存知だろうか。これは最盛期が過ぎ 色が緑や紅色に変化するのを愛でる人がおり、切り花として利用する人が出てきて、そう呼ばれるようになったそうだ。そういう品種があるわけではないとのこと。

今後、これらが更に干からびてきてドライフラワーのようになり、褐色に変化した“本物”の枯紫陽花になっていくが、それはそれでまた違った風情がある。
 
                                                    写真④
イメージ 4
 
参考句に関しては、「秋思」を詠んだ句を掲載する。

    【秋思の参考句】
     頬杖に深き秋思の観世音        (高橋淡路女)
     爪切れど秋思どこへも行きはせぬ    (細見綾子)
     永劫の涯に火燃ゆる秋思かな     (野見山朱鳥)
     夕闇を集めて秋思完了す        (高野ムツオ)
     丸善に秋思の木椅子濃い珈琲     (大西やすし)
 
                                                        写真⑤
イメージ 5

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