■ 祭事終え仰ぐ空には望の月
( さいじおえ あおぐそらには もちのつき )
昨日は中秋の名月の日。ここ京都では、いくつもの寺社で観月祭、月見会が行われた。昨年は、植物園の月見会に行って、月を見ながら音楽を楽しんだが、今年は初めて、近くの下鴨神社(賀茂御祖神社)の名月管弦祭に行ってきた。
時間は約2時間半。久しぶりに日本の伝統芸能をゆっくりと堪能した。月の方は、境内の樹木に遮られ見ることができなかったが、帰途につき、境内を少し出て空を仰ぎ見ると、真ん丸の月が皓皓と輝いて見えた。
本日の掲句は、そんな様子を読んだ句である。「望の月」は、「望月(もちづき)」と同義で満月のこと。特に陰暦十五夜の月をいう。また、曇りなく澄みわたった満月は、「明月」あるいは「名月」とも呼ぶ。これらはいずれも秋の季語になっている。
ところで、「中秋の名月」だが、これは陰暦8月15日(今年は9月8日)の十五夜の月を指し、「仲秋」でなく「秋の中日」の意で「中秋」と書く。また、この中秋の夜に雲などで月が隠れて見えないことを「無月(むげつ)」、雨が降ることを「雨月(うげつ)」とも呼ぶ。
更に、十五夜の前後をそれぞれ「待宵(まつよい)」「十六夜(いざよい)」と称し、翌月の陰暦9月13日を十三夜と言う。日本には、これを「後(のち)の月」と称して愛でる独自の風習がある。今年は、10月6日がその日に該当するとのこと。その他にも、様々な月の呼び名や風習があるようだが、これ以上触れるとボロが出そうなのでここにとどめる。
因みに、過去に「中秋の名月」を詠んだ句としては以下の句がある。句中の「今日の月」「十五夜」「望の月」は、いずれも中秋の名月の別の言い方。
【関連句】
① 今日の月何処で見てむ彼の人は *何処(いずこ)
② 十五夜は荒れ模様らし早月見
③ 虫すだく闇皓皓と望の月
①は、遠くにいる知人のことを思って詠んだ句。②は、天気予報で台風が来ることを知り、二日前の夜に早めの月見をした時の句。③は、「闇」に響く虫の音と皓皓と輝く月の「光」を対比させて詠んだ句。
中秋の名月に関しては、以前「名月」を使った参考句を本ブログで掲載したが、今回は特に、「名月」を使ってない句を選んで掲載する。
三井寺の門叩かばや今日の月 (松尾芭蕉)
月今宵松にかへたるやどりかな (与謝蕪村)
雲こめて今日満月の薄あかり (林翔)
望の月探査衛星待つ如し (松崎鉄之介)
十五夜の醤油とくとく匂ひけり (岡本眸)
月今宵松にかへたるやどりかな (与謝蕪村)
雲こめて今日満月の薄あかり (林翔)
望の月探査衛星待つ如し (松崎鉄之介)
十五夜の醤油とくとく匂ひけり (岡本眸)