■ 花虎の尾は昔からロリータ風
( はなとらの おは むかしから ろりーたふう )
先日、ある家の前の道路沿いで、長い花穂にピンクの小花をたくさんつけた、愛くるしい花を見かけた。花の名前は、「花虎の尾(はなとらのお)」という。この花姿、どこかで見たような感じだと前々から思っていたのだが、ふと思い出したのがロリータファッション。
本日の掲句は、その印象をベースに詠んだ句。花の色のピンクとフリルのようなふわふわとした感じがどこか似ている気がした。尚、俳句では「虎尾草」や「虎の尾」を夏の季語としているが、これは「岡虎の尾」のことで別の植物。「花虎の尾」の方は季語にはなっていないようだが、秋に咲く花なので秋の季語に準じて使った。
ところで、ロリータファッションと言っても、見たことがない人には全くイメージが湧かないと思うが、ネットで検索していただければ、画像がいくらでも出てくるので、興味のある方はご覧いただきたい。
事のついでに、その由来などについて少し整理をしようと思ったが、ファッションには疎く、とても説明できそうにないので、Wikipediaに記載された以下の説明を引用するにとどめる。
「ロリータ・ファッション (Lolita Fashion) とは、日本独自のファッションを中心としたムーブメントである。少女のあどけないかわいらしさ、小悪魔的な美しさを表現したスタイルであり、欧米文化への憧れと想像力をエンジンに、懐古的でありながらも全く新しい日本独自の解釈を加えた、ティーンを中心としたストリートファッションである。日本だけではなく、諸外国からも注目を集めている。」
余談だが、ロリータと言えば、ロリコン=ロリータコンプレックスという言葉を思い浮かべる人もいると思うが、これは、幼女・少女への性的嗜好や恋愛感情のことで、ロリータファッションとは全く関係ない。
因みに、花虎の尾については、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 花虎の尾は付け根より咲きにける
② ぽにょぽにょと花虎の尾の並びたる
①は、花が花穂の下(花穂の付け根)の方から咲いていく様子を詠んだもの。②は、花の咲いている感じを、宮崎駿監督のアニメ映画「崖の上のポニョ」の歌に出てくるあの「ぽにょぽにょ」といいう擬態語で表現してみた。
花虎の尾はシソ科ハナトラノオ属の多年草。北アメリカ原産で大正時代に渡来したそうだ。花期は、8月初めから9月末頃。花色にはピンクの他に白、赤紫などもある。別名に「角虎の尾(かくとらのお)」がある。
尚、花が沢山並んで、尾のような花穂になっているものを、昔から「虎の尾」と呼ぶ習慣があるそうで、他にも、「岡虎の尾」「伊吹虎の尾」「春虎の尾」「瑠璃虎の尾」などがある。但し、これらは、いずれも別科別属の花である。
花虎の尾は、季語になっていないせいもあり、詠まれた句がほとんどなく、参考句は割愛する。