■ 台風一過 三句
○ 久々の空の青さよ台風一過
( ひさびさの そらのあおさよ たいふういっか )
○ 濁流の音も和らぎ台風一過
○ 濁流の音も和らぎ台風一過
( だくりゅうの おともやわらぎ たいふういっか )
○ 台風一過ときは今ぞと蝉時雨
○ 台風一過ときは今ぞと蝉時雨
( たいふういっか ときはいまぞと せみしぐれ )
昨日の朝は、とりあえず周辺がどのようになっているかを見に、鴨川の加茂大橋近辺に行ってみた。その時に目にしたものを句にしたのが本日の掲句である。台風一過(たいふういっか)は秋の季語。
第一句は、北の空の雲間に見えた青空を見て詠んだ句である。台風が去った後の青空は殊に美しく、それを見て率直に嬉しく思った。この句は、数年前に詠んだ句だが、変えようがなく再掲した。
第二句は、鴨川の濁流を見て詠んだ句である。大雨が降っている最中がどのような状況だったのかは分からないが、今回は思ったよりも水嵩が少なく穏やかな感じがした。
第三句は、岸辺から聞こえてきた蝉の声に気づき詠んだ句。台風の間はどうしていたのだろう。蝉の季節も後わずか、蝉が待ってましたとばかり大きな声で鳴き出した。
因みに、台風一過の句は、これまでも何句か作ってきたが、比較的ましなものを以下に掲載したい。
【関連句】
① 古枝の落ちて寂しき台風一過
② 台風一過雲の切れ目に北十字
①は、散歩道の所々に散乱している古枝を見て詠んだ句。台風に耐えられず落ちて行く古枝に悲しさよりも寂しさを感じた。②台風が過ぎた夜の空を見上げて詠んだ句。雲はまだ空を覆っていたが、その切れ間から明るい星が見えた。それは紛れもなく北十字星(白鳥座)だった。
尚、台風という言葉は比較的新しく、明治時代末に当時の中央気象台長が「颱風」を使い、当用漢字が定められた1946年以降に「台風」となったそうだ。それまでは、「野分き(のわき)」と呼ばれていた。
語源については、台湾や中国福建省で激しい風のことを「大風(タイフーン)」といい、それがヨーロッパ諸国で音写され「typhoon」となり、それが再び中国や台湾に入り、「颱風」が使われるようになったという説があるが、異説もある。
台風一過中州に鴨の羽繕ふ (大山妙子)
谺して台風一過の瀧の音 (島崎晃)
台風一過河口を塞ぐ座礁船 (徳田正樹)
台風一過倒木にある日射かな (中貞子)
朝の浜台風一過の烏賊拾ふ (菅原孟)