■ 高山 三句
○ 出格子に風も涼しき三之町
( でごうしに かぜもすずしき さんのまち )
○ 高山の陣屋にゆかし檜扇の花
○ 高山の陣屋にゆかし檜扇の花
( たかやまのじんやにゆかし ひおうぎのはな )
○ 高山に放浪画家の花火見ゆ
○ 高山に放浪画家の花火見ゆ
( たかやまに ほうろうがかの はなびみゆ )
①上三之町の街並み
列車から降りて、早速向かったのは観光案内所。今回の旅行では、特に行き先は決めておらず出たとこ勝負。散策マップを貰い、見所を聞いて、その方面に向かった。順を追って行った所を上げれば飛騨国分寺、高山本町美術館、高山陣屋、上三之町、鍛冶橋などである。
結構いろいろな所を回った感じだが、いずれも駅から徒歩10分~15分圏内にある所。以下では、掲句に関連する場所や事柄について記述し、その他については割愛する。
先ず、掲句の第一句だが、これは、上三之町の町並みを見て詠んだもの。この周辺の一帯は城下町の中心で、「古い町並」「三町(さんまち)」と呼ばれているが、中でも、この上三之町は江戸時代の風情が最も残っている所だそうだ。
②出格子と朝顔
窓から外へ張り出して作ってある格子。
③セイロンライティア
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特に、出格子(でごうし)の町家が印象的で、それを覆うように咲いていたスカイブルーの朝顔や殆どの玄関先に置いてあったセイロンライティアの白い花が涼しげだった。尚、本句では「涼し」が夏の季語。
第二句は、江戸時代の御役所「高山陣屋」跡を一通り見て門を出た後、門前に咲いていた檜扇の花を見て詠んだ句。陣屋自体は広々としていて、庭園も立派だったが、役所だけあって何となく殺風景な感じ。そんな思いもあり、檜扇の花が殊更ゆかしく見えた。
尚、「檜扇」は「射干」とも書き夏の季語になっている。本記事は、植物を主体としていないので細かい説明はしないが、興味のある方は、過去の記事をご覧いただきたい。 → クリック
④高山陣屋跡
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第三句は、高山本町美術館でたまたま開催されていた「山下清原画展」を見て詠んだ句。わざわざ高山まで来て見ることもないだろうとは思ったが、原画を見たことがなかったので入館した。
⑤山下清原画展パンフ
会場はそれほど大きくなく、展示作品は100点ほどで、どこかで見たものもいくつかあった。貼り絵が中心だったが、近づいて見て、その精緻さには改めて驚かされた。
彼の絵でもっともよく知られているのは花火の絵だと思うが、掲句は、それを高山で見たことを詠んだものである。「高山」と「放浪」と「花火」の配合が面白いと思って作った句で、季語は「花火」、季は夏。(花火を秋の季語とする歳時記もある。)
因みに、山下画伯と高山とは特にゆかりがなく、地元に熱心な収集家がいて展示会が実現したとのこと。