■ 花くちなし甘き匂いで誘いけり
( はなくちなし あまきにおいで さそいけり )
このところ、空は一面雲に覆われ、時折弱い雨が降る日が続いている。今朝も同じような空模様だったが、気温が22-3度で、ほど良い湿り気もあり心地よかった。
上句は、「梔子は花だけでなく、その匂いで誘う」と詠んだ句だが、実は、以下の句の対句として考えた句である。
関連句: 投資詐欺甘き言葉で誘いけり
くちなしは、口がないから、言葉でなく匂いで誘ったというのが句意。尚、梔子は「山梔子」とも書くが、「梔子の花」「花梔子」で夏の季語となり、「梔子の実」とすると秋の季語になる。
因みに昨年は、「口なし」を「音なし」にかけ、更に「おとなしい=大人しい」を「穏やかで落ち着いた感じ」という意味で使い、以下のように詠んだ。
関連句:おとなしく くちなししろく 咲きにけり (2012/6/21作)
「くちなし」の語源について、代表的なものとして、「口無説:果実が開裂しない」と「嘴梨説:くち(ばし)のある梨のよう」という二説がある。どの説にも批判があり、未だ定まっていないそうだ。
【参考句】
くちなしの花さくかたや日にうとき (与謝蕪村)
薄月夜花くちなしの匂ひけり (正岡子規)
今朝咲きし山梔子の又白きこと (星野立子)
くちなしの夕となればまた白く (山口青邨)
山梔子の香が深き息うながしぬ (中村汀女)
くちなしの花さくかたや日にうとき (与謝蕪村)
薄月夜花くちなしの匂ひけり (正岡子規)
今朝咲きし山梔子の又白きこと (星野立子)
くちなしの夕となればまた白く (山口青邨)
山梔子の香が深き息うながしぬ (中村汀女)