■ 海蘭(うんらん) 二句
本日取り上げる「海蘭(うんらん)」については、名前を聞いたことも花を見たこともない、という人が多いのではないだろうか。かくいう自分も、その存在を知ったのは数年前のことだが、気を付けて見れば、川端や道端、野原など身近で簡単に見つけることができる。
ただ、厳密に言えば、よく見かけるのは「海蘭」の近縁種で、「松葉海蘭(まつばうんらん)」と「蔦葉海蘭(つたばうんらん)」。花形は似ているが、咲き方には特徴があり、以下には、それぞれについて句と写真と説明を掲載したい。
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【松葉海蘭】
○ 涼風にひょうろり揺るる松葉海蘭
( すずかぜに ひょうろりゆるる まつばうんらん )
先日、その花が疏水沿いに群生し、いくつもの花を付けているのを見かけた。
ひょろひょろした細長い茎が細かくゆれているのが印象的だった。
本日の掲句は、そんな様子をそのまま詠んだ句である。
尚、「松葉海蘭」は季語でないので、上五に夏の季語「涼風(すずかぜ)」をおいた。
「松葉海蘭」は、オオバコ(ゴマノハグサ)科ウンラン属の一年草(多年草)。北アメリカ原産で、日本で最初に確認されたのは1940年頃。現在は、北関東以西でほぼ定着しているとのこと。花期は4~6月。花色は薄い青紫色。
名前は、葉の形が松葉、花が海蘭(うんらん) に似ていることから付いたと言われているが、原種の「海蘭」はまだ見たことがない。
揺蕩える松葉海蘭夏の海
この句は、もっぱら名前にある「松」「海」から「夏の海」を懐かしんで詠んだ句。
*揺蕩う(たゆたう):ゆらゆらと揺れ動いて定まらないこと。
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【蔦葉海蘭】
○ 川べりを涼しく飾る蔦葉海蘭
( かわべりを すずしくかざる つたばうんらん )
この草花を最近見たのは、市内を流れる川辺で、その縁(へり)を飾るように咲いていた。
掲句は、その時の様子を詠んだ句である。
尚、「蔦葉海蘭」も季語でないので、中七に夏の季語「涼し」をおいた。
「蔦葉海蘭」は、オオバコ(ゴマノハグサ)科ツタバウンラン属のつる性多年草。原産地は地中海沿岸~西アジアで、日本へは観賞用として大正時代に渡来し後に野生化した。
●本記事は日時指定により投稿したものです。5月21日まで遠出してますので、コメントへの
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