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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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青かえで赤き翼果を浮かべおり

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■ 青かえで赤き翼果を浮かべおり
    ( あおかえで あかきよくかを うかべおり )


イメージ 1これまでん何度も青葉、若葉が眩しくなってきたと記しているが、中でも美しいのは秋の紅葉でも群を抜いている「楓(かえで)」である。

今、この楓の青葉をじっくり見ると目に入ってくるのがプロペラのような形をしている果実。それが、緑色から赤色に変化し、楓の葉上を漂うように揺れている。

本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。 (過去句を一部修正)

*「翼果(よくか)」は、果皮の一部が平らな翼状に発達した果実のこと。

新緑の「楓」に関する季語には、「「青楓(あおかえで)」「若楓(わかかえで)」「楓若葉(かえでわかば)」などがあるが、この句では果実の「赤」と対比させるため「青楓」を使った。

尚、この「青楓」を「青紅葉(あおもみじ)」と言う場合もあるが、紛らわしいせいか季語にはなっていない。



イメージ 2

因みに、過去にも新緑の「楓」をプロペラ状の果実とともに詠んだ句がいくつかある。

  【関連句】
   ① 若楓タケコプター群スタンバイ
   ② プロペラをつけて風呼ぶ青楓
   ③ 縁赤き翼果ともない若楓

イメージ 3①は、楓の果実をドラえもんの「タケコプター」にかけて詠んだ。
②は、「プロペラ」と「風」を関連づけて詠んだもの。
③は、赤ん坊の「赤」をイメージして詠んだ句で、下五は「若楓」とした。

イメージ 4こう並べてみると、同じ物、同じ景色を見ても、表現の仕方が様々あることが分かる。考えてみれば、同じと思われる情景も、天候や時間により見え方が違うし、見る方の精神状況によっても受け取り方が違ってくる。

イメージ 5「楓」は、植物学的には、カエデ科カエデ属の木を総称している。(「もみじ」という科や属は存在しない。)原産地は東アジア、ヨーロッパ、北アメリカなど。

花期は4月~5月。風媒花なので、虫を呼ぶための大きな花をつける必要はなく、花弁は目立たなく小さい。 (最後尾の写真参照)

イメージ 6果実は、片翼の翼果が二つずつ(稀に三つのこともある)種子側で密着し、プロペラのような姿でつく。

イメージ 7新緑の「楓」を詠んだ句は非常に多いが、今回は特に「青楓」「若楓」で詠んだものを選定して以下に掲載した。

  【青楓、若楓の参考句】
   筝の前に人ゐずなりぬ若楓     (高浜虚子)
   若楓枝を平らにうち重ね         (富安風生)
   松高し下に揺れ澄む若楓       (久米正雄)
   みかへり如来へ回廊くらむ青楓    (横山房子)
   青楓祭の笛をさらひをり       (片山由美子)


 ●本記事は日時指定により投稿したものです。5月21日まで遠出してますので、コメントへの
   返信は22日以降になります。ご了承ください。

*楓の花 (4月中旬に撮影)
イメージ 8

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