■ 若草の生えて清しき池の杭
( わかくさの はえてすがしき いけのくい )
さて、本日は花ではなく、数日前に植物園の池で見た「若草」を取り上げたい。掲句は、それを見て詠んだ句だが、その景が思い浮かぶだろうか。
多分、写真を見れば、こんな風に若草が生えてきているのかと驚かれるかもしれない。水面に出た杭の先や横から芽を出し葉を広げていて、吊り忍のような感じになっている。
*吊り忍(つりしのぶ): 野生のシダ植物の忍(しのぶ)を団子状のものに植えつけ、軒などに吊るしたもの。
【若草の参考句】
前髪もまだ若草の匂ひかな (松尾芭蕉)
若草に口ばしぬぐふ烏かな (野沢凡兆)
若草や水の滴る蜆籠 (夏目漱石)
若草や空を忘れし籠の鶴 (飯田蛇笏)
若草に我がゴンドラの影進む (西村和子)