■ 柵を越え自由求めてフリージア
( さくをこえ じゆうもとめて ふりーじあ )
今日は令和の二日目だが、後四日もすれば立夏を迎える。もう春も終わりかと春を惜しむ時期にさしかかってきた。
さて、当ブログでは、できるだけ、その時期に咲く植物を取りあげるようにしているが、タイミング的に掲載が遅れているものも多数ある。
本日取りあげる「フリージア」もその一つで、満開を迎えたのは10日ほど前。掲句はその時に詠んだ句で、遅ればせながら本日掲載することにした。
本句は、近くのアパートに咲いていたフリージアを見て詠んだものだが、柵を越えるように咲いていたので、中七は「自由求めて」とした。
これは、「フリージア」の「フリー」にもかけたものだが、本句は駄洒落の戯れ句でもある。「フリージア」は春の季語。
【関連句】
① 斜にかまえエントランスのフリージア
② 新天地求め川辺にフリージア (原句一部修正)
②は、近くの近くの疏水べりに群生しているフリージアの花を見て詠んだ句。「狭いプランターを飛び出し、ここに新天地を求めて生育しているのだろう」というのが句意。
名前の由来は、南アフリカで植物採集をしていたデンマークの植物学者エクロンが、発見した植物を親友のドイツ人の医師フレーゼに献名したもの。自由を意味する「フリー」とは全く関係ないようだ。和名には、アサギスイセン(浅黄水仙)、コウセツラン(香雪蘭)がある。
【フリージアの参考句】
四つ角は空見るところフリージア (高尾早弓)
フリージアに涙の様に光るもの (中山玲子)
フリージアに息近づけて屈託す (水谷晴光)
フリージアあすの蕾はひくくもつ (武藤ともお)
ハウス剥ぎフリージアの香を解き放つ (植松深雪)