■ そうろそろ出番本番姫踊子草
( そうろそろ でばんほんばん ひめおどりこそう )
徐々にではあるが、春の野草も花を咲かせ始めた。今日はその内の一つ「姫踊子草(ひめおどりこそう)」を取り上げた。
この野草、2月の初めごろから咲き始めたが、本格的に咲きだすのはこれからで、3月~4月に最盛期を迎える。本日の掲句は、そんな状況を詠んだ句である。
この句の下五は8音の字余りになっているが、植物名など長い名前の物に関しては、このように字余りで対処することがよくある。
そうでないと、たまたま長い名前が付けられた植物は、句に絶対詠めないことになり、甚だ不公平だと思うからである。
ただ、これを認めない句会もあるので、敢えて中に組み込んで17音にて詠んでみたが、窮屈な感じは否めない。
そうろそろ出番や姫踊子草
尚、「姫踊子草」は春の季語だが、単に「踊子草」とすると別の植物(最後尾の写真参照)のことを指し夏の季語となるので注意を要する。
【関連句】
① 出番待つ姫踊子草や土手の袖
② 姫踊子草衣重ねて乱舞かな
③ 晴れるや姫踊子草も勢揃い
②は、姫踊子草が群れ咲いているのを見て詠んだもの。色は些か地味だが、遠くから見ると、人気の女性アイドルグループが衣装を翻し乱舞しているようにも見える。
③は、3月中旬に詠んだ句。冒頭の「晴れるや」は、ヘンデル作曲メサイアの「ハレルヤ・コーラス」などに出てくる「ハレルヤ」をもじったもの。
名前は、草の立ち姿が踊子のようだから付けられたと思われがちだが、実のところ別に「姫」の付かない「踊子草」という野草があり、それよりも小さいという意味でつけられた。
「姫踊子草」を詠んだ句は残念ながらほとんどない。一方「踊子草」で詠んだ句は結構あり、中には「姫踊子草」と混同して詠んだと思われるものもある。ただ、明確にそうだとは言えないので、ここでは参考句として取り上げないことにした。
踊子草 (昨年4月末撮影)
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下左の「踊子草」の花が、編み笠を被った踊り子に見える。右下は「姫踊子草」の花。