Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

春なればもっと光を福寿草

$
0
0
■ 春なればもっと光を福寿草  
                            ( はるなれば もっとひかりを ふくじゅそう )


イメージ 1昨日は、あまり嬉しくない名前の「大犬のふぐり」を取り上げたが、今日は反対に非常に良い名前をもらった「福寿草(ふくじゅそう)」を取り上げたい。

この花は、新春=正月に咲くということで、「福寿(幸福と長寿)」というめでたい名前がつけられた。しかし、その新春とは旧暦の正月=旧正月のこと。

今年は2月5日がその日に当たるが、福寿草が咲くのも、本来であれば、この時期なのである。

ところが、日本は明治5年(1872年)に新暦を採用したため、正月が旧暦よりも1ヶ月ほど早まった。

幸か不幸か、そのころ福寿草は、正月に欠かせない花として定着していたので、結局温室での促成栽培で対応することになったとのこと。

俳句の世界でも、「福寿草」は新年の季語に分類されている。だから、実際に咲く春の句にするには、春の季語を別に入れる必要がある。

さて、本日の掲句は、そんなことも念頭に詠んだ句である。上五には「福寿草」よりも強い季語「春」を上五においた。

ところで、この句のポイントは中七の「もっと光を」なのだが、このフレーズ、多分どこかで聞かれたことがあると思う。

イメージ 2誰の言葉だったか、うろ覚えだったのでネットで調べてみたところ、ドイツの偉大な詩人ゲーテの言葉だった。ならば、何か哲学的な意味が込められているのではと思い、更に調べて見ると、臨終の際、召使に「もっと光が入るように、寝室のよろい戸を開けてくれ」と命じた言葉から抜き取ったものだそうだ。

何だそれだけのことか。ちょっと肩透かしをくった感じだが、同じ言葉でも偉人が言うと、後から尾ひれがついて意味深の言葉になるものだと改めて思った。

イメージ 3話は戻って、「福寿草」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 春の陽を浴びて耀う福寿草
    ② 新年ももう三月や福寿草
    ③ ありったけ光集めよ福寿草

イメージ 4①は、福寿草の大きく広げた黄色い花弁が、春の陽を受けて輝いているのを見て詠んだ句。
②は、先頃新年迎えたばかりだと思っていたのに、もう3月になったのかとその感慨を詠んだもの。
③は、2月初め、まだ蕾のままの福寿草が多かったので、もっと光を集めて開いてほしいと思って詠んだ句。本日の掲句と着想は同じ。


イメージ 5福寿草は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。原産地はシベリア東部、東アジア。花期は2月から4月。当初は茎が伸びず、苞に包まれた短い茎の上に1つ2つの花をつけるが、次第に茎や葉が伸び、いくつもの花を咲かせる。


花は蜜を持ってないため、パラボラアンテナのような花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引する。その為、日光が当たると開き、日が陰ると閉じて保温性を高めている。

イメージ 6福寿草を詠んだ句は非常に多い。以下には、その中からいくつか選定し掲載した。(過去に掲載したものを除く。)

    【福寿草の参考句】
     福寿草十花燦たる鉢一つ     (水原秋櫻子)
     日のあたる窓の障子や福寿草   (永井荷風)
     わが好きの数の七つの福寿草   (五十嵐播水)
     音もなく日はかがやけり福寿草  (仙田洋子)
     仏具屋に日向がありて福寿草  (清崎敏郎)

イメージ 7

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Trending Articles