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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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お目覚めの星の瞳や池の傍

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■ お目覚めの星の瞳や池の傍
                                 ( おめざめの ほしのひとみや いけのはた )


イメージ 1「大犬のふぐり」と言えば、早春に咲く花としてよく知られている。この花は、田んぼの畔などでよく見かける花だが、近辺には田畑がないのでなかなか見られない。

見たのは、やはり植物園で、池の周りに繁茂し花を咲かせていた。周囲には、まだ枯れ葉が積もっていて、花のコバルトブルーが目が覚めるほど鮮やかだった。

ところで、これまで何回か本ブログの記事にも書いてきたが、「大犬のふぐり」の「ふぐり」とは、「陰嚢(いんのう)」すなわち「きん○○」のことである。

ただ、「ふぐり」は死語にもなっているので、卑猥さはあまり感じることがなく、俳句においても平気で使われいる。

しかし、意味を知り抵抗感を感じる人もおり、「星の瞳」という新しい別名で呼ぶことが一部で推奨されている。いささか乙女チックな名前ではあるが・・・。




尚、かの高浜虚子は、この草花について以下の句を残している。何となく「星の瞳」を連想させる句ではある。

    犬ふぐり星のまたたく如くなり

イメージ 2本日の掲句は、そんなことも知って詠んだ句である。この花を池の畔で見た時は、いよいよお目覚めかと率直に思った。「星の瞳」は「大犬のふぐり」の別名で春の季語。

俳句では、短縮して「犬ふぐり」と呼ぶことが多い。

イメージ 3因みに、「犬ふぐり」「星の瞳」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 野にも出よ早も元気に犬ふぐり
    ② 行く春や犬ふぐりまだ元気なり
    ③ 別世界星の瞳に見ゆるかも

イメージ 4①は、丁度今頃の初春の2月下旬に詠んだ句。「外(ト)にも出よ 触るるばかりに春の月」(中村汀女)に倣う。
②は、晩春の5月初めに詠んだ句。春ももうすぐ終わりなのにまだ咲いているのかというのが句意。ご年配の男性なら、別の意味で共感できる部分があるかもしれない。
③は、別名に「星の瞳」があることを初めて知って詠んだ句。「犬ふぐり」とは、ちょっと雰囲気が違ってくる。

イメージ 5大犬のふぐりは、オオバコ科クワガタソウ属の越年草。ヨーロッパ、西アジア原産。明治時代に渡来し帰化。花期は3月~5月。花弁は4枚。色はコバルトブルーだが、まれに白い花をつけることがある。

イメージ 8名前は、果実の形が犬の陰嚢に似ているからと言われている。命名者は有名な植物学者:牧野富太郎氏。

果実を実際に見たことがない人のために左に写真を掲載したのでご覧いただきたい。(実際の大きさは米粒より小さい。)

イメージ 6












「星の瞳」で詠まれた句はほとんどないが、「犬ふぐり」を詠んだ句は結構あり、以下にいくつか選定して掲載した。(但し、過去に掲載したものを除く。)

    【犬ふぐりの参考句】
     一花にも大空湛へ犬ふぐり     (深見けん二)
     犬ふぐり殊勝といふに余りある   (高澤良一)
     奥多摩の空のかけらや犬ふぐり  (結城恵子)
     犬ふぐり野川水音高まれり      (西村秋子)
     田の畦の崩れしままや犬ふぐり   (森みち子)

イメージ 7

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