■ お目覚めの星の瞳や池の傍
( おめざめの ほしのひとみや いけのはた )
見たのは、やはり植物園で、池の周りに繁茂し花を咲かせていた。周囲には、まだ枯れ葉が積もっていて、花のコバルトブルーが目が覚めるほど鮮やかだった。
ところで、これまで何回か本ブログの記事にも書いてきたが、「大犬のふぐり」の「ふぐり」とは、「陰嚢(いんのう)」すなわち「きん○○」のことである。
ただ、「ふぐり」は死語にもなっているので、卑猥さはあまり感じることがなく、俳句においても平気で使われいる。
しかし、意味を知り抵抗感を感じる人もおり、「星の瞳」という新しい別名で呼ぶことが一部で推奨されている。いささか乙女チックな名前ではあるが・・・。
尚、かの高浜虚子は、この草花について以下の句を残している。何となく「星の瞳」を連想させる句ではある。
犬ふぐり星のまたたく如くなり
俳句では、短縮して「犬ふぐり」と呼ぶことが多い。
【関連句】
① 野にも出よ早も元気に犬ふぐり
② 行く春や犬ふぐりまだ元気なり
③ 別世界星の瞳に見ゆるかも
②は、晩春の5月初めに詠んだ句。春ももうすぐ終わりなのにまだ咲いているのかというのが句意。ご年配の男性なら、別の意味で共感できる部分があるかもしれない。
③は、別名に「星の瞳」があることを初めて知って詠んだ句。「犬ふぐり」とは、ちょっと雰囲気が違ってくる。
果実を実際に見たことがない人のために左に写真を掲載したのでご覧いただきたい。(実際の大きさは米粒より小さい。)
「星の瞳」で詠まれた句はほとんどないが、「犬ふぐり」を詠んだ句は結構あり、以下にいくつか選定して掲載した。(但し、過去に掲載したものを除く。)
【犬ふぐりの参考句】
一花にも大空湛へ犬ふぐり (深見けん二)
犬ふぐり殊勝といふに余りある (高澤良一)
奥多摩の空のかけらや犬ふぐり (結城恵子)
犬ふぐり野川水音高まれり (西村秋子)
田の畦の崩れしままや犬ふぐり (森みち子)