■ 名も知らぬ花は虹色春来る
( なもしらぬ はなはにじいろ はるきたる )
これから咲きだす花もあったが、特に目を引いたのが、公園の一画に群生し、細長い茎を伸ばして多くの花を咲かせている植物である。
これまで見たことがない植物で、赤、ピンク、紫、青、黄など多彩な色の小花が重なりながら林立していた。
何と華やかな花だろうと思いながら、取りあえず様々な角度から写真を撮った。
本日の掲句は、その様子を詠んだ句である。「春来る」が春の季語。
尚、植物の名は、家に帰ってからネット図鑑などで調べたところ、どうやら、「姫金魚草(ひめきんぎょそう)」のようである。その概要については後述する。
ところで、俳句の詠み方は各人各様だと思うが、自分の場合、まず現場で感じたことをいくつかの「キーワード」にする。
今回は、「名も知らぬ花」「虹色」「公園」「早春」などが浮かんだ。ただ、これだけの言葉を入れて十七音で詠むのは至難の技。
名も知らぬ花虹色に咲き誇る風まだ寒き早春の苑
しかし、俳句の場合はそうはいかない。何を残し何を省くか。仮に実際に見た場所(家などではない公園、花壇)を重視すれば以下のようになる。
名も知らぬ花虹のごと春の苑
やはり、ここは立春を過ぎたとは言え、本当の春がまだぼんやりとしか見えない早春のイメージを句に入れたい。そう思い、以下のように詠んでみた。
名も知らぬ花虹のごと早春苑
以上、長々と作句の過程を述べたが、俳句はあくまでも自己流で詠んでいるので、こういうやり方がいいのかどうか分からない。ただ、何かの参考になればと思い記載した。
また、これは、自分の俳句に対する考え方をまとめるためでもあり、今後機会があれば掲載していきたい。先学の方は、素人のたわごとと無視していただければと思う。
名前は、金魚のような花を咲かせる金魚草(きんぎょそう)に似て、それよりも小型であることに因む。但し、金魚草は、オオバコ科キンギョソウ属の植物で、姫金魚草とは別科別属。夏の季語にもなっている。
別名はリナリア。ギリシア語の「linon(亜麻という植物)」が語源となり、細長い葉の形が亜麻の葉と似ていることに由来する。