■ 白塗りで誰を呼ぶらん半夏生
( しろぬりで だれをよぶらん はんげしょう )
とは言っても、あまり聞きなれない言葉であり、知らな人も多いのではないか。かく言う自分も、この言葉の意味を知ったのは数年前のことである。
「半夏生」とは、二十四節気(にじゅうしせっき)をさらに約5日ずつの3つに分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」の一つで、半夏(はんげ)=烏柄杓(からすびしゃく)という薬草が生える頃の意。
夏至(げし)から数えて11日目の暦日で、今年は7月2日がその日にあたる。
この日は、農家にとって大事な節目の日で、この日までに農作業を終え、この日から5日間は休みとする地方もあるそうだ。
また、この日は天から毒気が降るとも言われ、井戸に蓋をして毒気を防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないという言い伝えもあるとのこと。
尚、花は穂状になっているもので、その近辺の白い部分は葉っぱが変色したもの。花そのものがあまり目立たないので、虫を誘うために一時的に葉を白くしていると言われている。面白いことに花期が終わると葉の色は元の緑色になる。
既述の通り、「半夏生」には時節と植物名の両方を示すが、いずれも夏の季語になっている。
① 半夏生何を思うて半化粧
② 小夜更けて灯りに浮かぶ半夏生
①は、部分的に葉が白くなるので「半夏生」を別名で「半化粧」ということを知り詠んだ。
②は、夜が更けて外灯に照らされている半夏生をイメージして詠んだ。
【半夏生(草)の参考句】
磐梯をしんそこ濡らし半夏生 (阿部みどり女)
含み吐く旅籠の水や半夏生 (長谷川かな女)
カレーに火通してをりぬ半夏生 (仁平勝)
つぼみ持つものつよく揺れ半夏生 (正木ゆう子))
木の揺れが魚に移れり半夏生 (大木あまり)