■ 蓮池の蓮咲き初めし五六輪
( はすいけの はすさきそめし ごろくりん )
もうそろそろ百合や蓮が見られるのではと期待して行ったが、百合の方は、一部咲いていたが山百合などは、まだ莟のままだった。
一方、蓮の方は、蓮池の白い蓮が咲き初めていた。ただ、開花しているのは全体の1~2割程度で、まだ、莟のものも多かった。
本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。下五については、何輪にするか迷ったが、二三輪ではちょっと寂しいので五六輪とした。尚、本句では、「蓮池」「蓮」ともに夏の季語だが、あえて重ねた。
ところで、数量・順序を表す言葉を数詞というが、この数詞を使った有名な句に正岡子規の以下の句がある。
鶏頭の十四五本もありぬべし
この句は、病に臥せていた子規が病床から庭先の鶏頭の情景を推測して詠んだ句だと考えられているが、「十四五本」と具体的に詠んだことで、非常にインパクトが強くなったという評がある。
【関連句】
① 整いし紅蓮一花に瞠目す *紅蓮一花(ぐれんいっか)
② 濁りなき蓮にピンクのグラデーション
③ 皓皓と葉叢に浮かぶ蓮華かな
②は、グラデーション模様の花に注目して詠んだ句。
*グラデーション:色や濃淡を連続した階調(調子)
③は、蓮の花が、まるで緑の雲海(葉叢)の中に白く浮かぶように咲いている様子を見て詠んだ。「蓮華(れんげ)」は蓮の花の別称。
③は、蓮の花が、まるで緑の雲海(葉叢)の中に白く浮かぶように咲いている様子を見て詠んだ。「蓮華(れんげ)」は蓮の花の別称。
花期は7月~8月。花は開閉を繰り返し4日間咲く。1日目は半開まで、2日目は全開、3日目は最大に開き、4日目は朝から散り始め、午後には完全に散る。最も美しいのは2日目だそうだ。
【蓮の花の参考句】
蓮の花とらんと向けし舳かな (高野素十)
夕立の来べき空なり蓮の花 (芥川龍之介 )
蓮の花開かんとして茎動く (滝沢伊代次)
蓮の葉のうねりて遠き蓮の花 (日原傅)
蓮の花数へてよりの空の色 (柿本多映)