■ 川風が囃せば揺るる踊子草
( かわかぜが はやせばゆるる おどりこそう )
右の写真を見れば、編み笠を被った踊り子が茎を囲んで踊っているように見える。花の名前も、このことに由来して付けられたとのこと。
本日の掲句は、その踊子草が川端に群生しているのを見て詠んだ句である。「踊子草」は夏の季語。
編み傘を被って踊るといえば、徳島の阿波踊り、富山のおわら踊りなどを思い浮かべるが、どことなく古風でしっぽりとした感じがする。
ところで、踊子草と聞いて、春に咲いていた姫踊子草(ひめおどりこそう)を思い出された人も多いのではないだろうか。(最後の写真参照)
姫踊子草は、踊子草ど同じ仲間だが、それよりも小さいことから「姫」がつけられている。個々の花よりも草花全体の姿が現代風の踊子を連想させる。
また、咲く時期は3月~5月で春の花とされているが、本日取り上げた踊子草は4月~6月に咲き、夏の花に分類されている。
因みに、踊子草に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 川舞台そろうたそろた踊子草
② 踊子草ぐるり囲んでよーいやさ
①は、川べりの土手に群生していた踊子草を見て詠んだ句。
②は、特に花の姿に着目し、盆踊りを連想して詠んだ句。
踊子草は、シソ科オドリコソウ属の多年草。日本原産で、野山や野原、半日陰になるような道路法面に群生する。
花期は4月~6月。唇形で上唇は兜型、下唇は突き出して先端は2つに分かれた花を葉腋につける。花色は薄紅、白の他、黄色のものある。(下写真参照)
若葉は食用になり、根は薬用になる。別名で、踊花(おどりばな)、虚無僧花(こむそうばな)ともいう。
*黄花踊子草
踊子草を詠んだ句はままある。以下には、ネットで見つけた句をいくつか掲載した。(過去に掲載したものは除く。)
【踊子草の参考句】
黒子持つ踊子草や髭も持つ (矢島渚男)
板橋を踏めば踊子草をどる (森田峠)
露坐仏をかこみて咲きぬ踊子草 (西島静歩)
納め笠踊子草の紅を添ふ (田中菅子)
きれぎれの風をもらひぬ踊子草 (関根喜美)
*姫踊子草 (3月に撮影)