■ 通り過ぎゆく花たち(8) 《著莪、石楠花、芍薬》
●立夏から既に20日経過しだんだんと暑さが増してきた。ここ京都でも最高気温が25度を越える夏日、さらには真夏日が続きそうな気配である。
●そんな中、夏の花と言われるもので、早々と盛りが過ぎほとんど散ってしまったものがある。それが本日取り上げた3つの花。いずれも名前が「しゃ」で始まる花たちである。
花もようエキゾチックに春のシャガ
シャガが咲き
シャガールの絵を思い出す
布きれで造りし花か著莪の花
著莪(射干とも書く)は、アヤメ科アヤメ属の常緑多年草。原産地は中国で、かなり古くに日本に渡来したとのこと。
花期は3月末~5月初め。六弁の花のように見えるが、模様のある3枚は外花被(萼)、内側の先端が二つにくびれたものは内花被(花冠)。先端がひげ状になっているのが雌蕊。雄蕊は雌蕊の裏側に隠れている。
シャガの名前は、ヒオウギの漢名「射干」を音読みしたもので、ヒオウギをシャガと見誤って、シャガに「射干」を当てるようになったとのこと。「著莪」は当て字。
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山盛りに石楠花咲くや疎水べり
ポンポンでファイトファイトと
石楠花の花
古池の石楠花赤き小寺かな
石楠花(石南花とも書く)は、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属の常緑広葉樹。原産地はネパールのヒマラヤなどで、日本に自生するものは、かなり高い山や渓谷に咲く。
現在は、西洋石楠花が園芸品種に改良され、庭園や庭にも植えられている。
花期は、品種により違うが、4月頃~6月頃。花は、派手で大きく、花色は、白、ピンク、赤、赤紫、黄色など。
名前は、漢名の「石南花」を 「しゃくなんげ」と読み、その後少しずつ変化して「しゃくなげ」となったという説が有力。また漢名の「石南花」は「石の間に生え、南向きの土地で育ちやすいこと」に由来するとのこと。
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芍薬や噂たがわぬ立ち姿
立ち並ぶ綺麗どころや芍薬園
芍薬も牡丹も百合も夏女
芍薬は、ボタン科ボタン属の多年草でアジア大陸北東部の原産。日本には薬用植物として平安時代頃に渡来。
花の姿は、牡丹そっくりだが、牡丹は樹木で枝分かれし、横向きの枝に花を咲かすのに対し、芍薬は草本であり、まっすぐに茎を立て先端に花を咲かす。
また、花期は牡丹が4月から5月で、芍薬はその後の5月中旬~6月末頃。
巷間では、牡丹が「花王」と呼ばれるのに対し、芍薬は「花の宰相」、「花相」と呼ばれているとのこと。
名前の由来は、姿がしとやかで美しいという意味の「綽約(しゃくやく)」からきたとの説が有力。漢字は、漢方に使われるので、「芍薬」という漢字が当てられたとのこと。
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▼▼▼▼▼▼ おしまい