■ 通り過ぎゆく花たち(6) 《小手毬、大手毬、浪速茨》
●今回は、晩春から初夏にかけて咲く白い花で、既に盛りが過ぎてしまったものを選んで掲載した。小手毬は晩春の花で既に散り終えたが、大手毬、浪速茨は初夏の花。
こでまりのまりまるまるとしだれけり
小手毬が転がるように坂の茶屋
小手毬は、バラ科シモツケ属の落葉性低木。中国原産で江戸時代に渡来したといわれている。
花期は4月中旬から5月中旬。白く小さい花を沢山集めて手毬のような丸い花となり、それを枝にいくつも並べて枝垂れ咲く。「雪柳」と同科同属。春の季語。
別名に「すずかけ」があるが、「鈴掛の木(すずかけのき)」=「プラタナス」とは無関係。
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ふかふかと饅頭のごと大手毬
大でまり小でまりよりも ふくよかに
大手毬は、スイカズラ科カマズミ属の落葉性低木で、原産地は日本、台湾、中国。花は小手毬や紫陽花と似ているが、全く異なる種類の植物である。
花時は4月中旬から6月上旬。小さな花が集まり肉まんを小さくしたような花玉を形成する。花の色には白の他にピンクのものもある。夏の季語。
別名に「てまりばな(繍毬花・手毬花)」があり、英名は「スノーボール」という。
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ど根性浪速いばらは宙をはう
義理人情浪速茨の道明し
浪速茨は、バラ科バラ属の耐寒性常緑つる性低木でバラの原種。原産地は中国南部、ブータン、台湾など。
花期は4月~5月。生垣やフェンスなどを伝い、白い椿ぐらいの大きさの花を並べて咲かす。放置していると5~6mくらい平気で伸びる。夏の季語。
江戸時代に中国から伝わり、浪速(大阪)の商人もしくは植木屋が広めたことから「浪速」の名がついたと言われている。
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▼▼▼▼▼▼▼▼ おしまい